那覇市が「性の多様性を尊重する都市・なは(レインボーなは)」を宣言した。

 レズビアンやゲイらLGBT(性的少数者)、その賛同者がシンボルのピンク色の服を身に着けて集まったイベント「ピンクドット沖縄」の会場で、城間幹子市長が宣言文を読み上げた。

 「市民と協働し、性自認および性的指向など、性に関するあらゆる差別や偏見をなくし、誰もが安心して暮らせる都市をめざす」と宣言した意味は大きい。多様性に富んだこれからの社会像を明確に提示しているからだ。

 那覇市は職員への研修や相談窓口を設置するなど具体的な施策を展開するが、これらは宣言の実現に向けた第一歩と捉えるべきだ。これからやるべきことは多い。

 すべての性的少数者の人権が尊重される社会をつくるためには早い段階から学校教育に組み入れる必要がある。

 今後、教職員らが正確な知識を身に付けるとともに、児童・生徒への人権教育をどう実践していくか早急に取りまとめてもらいたい。

 学校現場では性的少数者が深刻な状況に置かれている。

 性的少数者の若者らの自殺対策に取り組んでいる民間団体が2014年に発表した調査によると、関東圏の性的少数者約600人のうち、約7割が学校時代にいじめや暴力を受け、その結果約3割が「自殺を考えた」と回答しているからだ。

 性は個人の尊厳に関わる問題だ。性的少数者が偏見や差別にさらされ、排除される社会は息苦しい。

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 今回の宣言は、13年の大阪市淀川区の「LGBT支援宣言」に続き、自治体では2番目となる。

 那覇市は1997年から性的少数者に関する講座を開くなど啓発活動に力を入れてきた。今回で3回目を迎えたピンクドット沖縄も最初から共催に加わるなど積極姿勢だった。地道な取り組みが今回のの宣言につながった。

 宣言は全国的にみても早いが、性的少数者への偏見や差別、排除は、宣言したからといってすぐになくなるようなものではないだろう。

 思い出すのは、性的少数者支援の条例制定を検討していた兵庫県宝塚市の6月市議会である。自民党市議が「宝塚に同性愛者が集まってHIV(エイズウイルス)感染の中心になったらどうするのか」などと発言、抗議され撤回に追い込まれた。

 意識改革には時間がかかる。那覇市も一歩一歩前に進めるしかない。

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 東京都渋谷区で全国に先駆けて同性パートナーシップ条例ができた。同性カップルを結婚相当と認め、証明書を発行。不動産業者や病院に夫婦と同等に扱うよう求めることができるようになった。

 那覇市も宣言を実効性あるものにするためには条例制定も視野に入れるべきだ。まずLGBT当事者が日常生活を送る上で何に困っているかの調査に乗り出してほしい。

 違いを認めることこそが多様性に富んだ社会である。それは誰もが生きやすい寛容な社会であるはずだ。