今月5日、岩手県の中学2年の男子生徒が列車に飛び込み亡くなった。男子生徒は担任らに何度もいじめをうけていることを訴えており、いじめを苦にした自殺とみられる。繰り返されるいじめによる自殺事件をどう捉え、どう防ぐか。発達障がい児支援や5児の子育てを通して、いじめ問題に関わった経験のあるNPO法人「さぽーとせんたーi」所長の小浜ゆかりさん(51)に話を聞いた。(聞き手=学芸部・高崎園子)

「同じような事件は沖縄でも起こる可能性があり、人ごとではない」と語る小浜ゆかりさん=那覇市泊の「さぽーとせんたーi」

 相談支援専門員、作業療法士として、発達が気になる子どもの相談や生活訓練に携わる中で、いじめの体験を聞くことが多い。発達障がいの子は言動に特徴があり、特性のでこぼこを理解されずにいじめられることがある。

 個人的には、今は成人している息子が小学5年生のとき、いじめる側に回っていたことがある。授業参観日に、同級生の女の子が、息子が6~7人のグループで、一人の女の子をいじめていると教えてくれた。息子に問うと、女の子の方も言い返すから、「いじめではない」という。

 担任の先生に相談した。先生は、息子たちの言い分を聞いた上で、人の受け取り方や感じ方はさまざまだということ、一人対集団の不公平さなどを時間をかけて丁寧に教えてくれた。女の子に毎日1回言葉を掛け、それを2カ月間、作文に書くようにさせた。そうしたことを通して、息子たちは意識を変えていった。

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 いじめが起きたときに、やみくもに叱るとか、頭ごなしにごめんなさいを言わせても子どもたちは納得しない。表面的に反省するが、違うターゲットに向かう。親と教師が連携して、いじめの芽をタイムリーに拾って、丁寧に教えていくことが大事だ。

 前提となるのが、大人と子どもの信頼関係だ。信頼関係がなかったら、正論を言っても、表面だけ、形だけで終わる。今、学校現場では、表面だけ取り繕っているようなことがすごく多いのではないか。日ごろから、子どもたちが大人から、愛されている実感や安心感をもらっていたら、困ったときには相談するし、SOSも出す。

 子どものSOSを見逃さないためには、いろいろな人がつながっておくことが大事だ。例えば息子の例では、私が息子の同級生や担任とつながっていたから解決できた。親と教師が日ごろから信頼関係をつくっておくことだ。また、学校だけで抱えるのではなく地域や行政、福祉とつながっておくことも大切だ。

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 岩手の事件では、男子生徒がSOSを出し続けたが、担任や学校は対処できなかった。生徒のSOSに対する担任の受け止めには問題があったと思うし、学校側が本当にいじめを感知していなかったのか疑問が残る。

 (いじめ問題が共有されていなかったのは)この学校では、先生同士がつながっていなかったからではないか。みなが個々で仕事をしていて、ふだんから相談したり、声を掛け合う環境がなかったのではないか。大人が変わらないと、子どもは変わらない。