2000年の介護保険制度スタート以来、初の利用者負担増となる改定が8月から始まる。1割だったサービス利用料の自己負担割合が、一定の所得がある人は原則2割になるなど単純に言えば利用料が2倍となり、経済的負担から介護サービスの利用を控える人の増加が懸念される。

 2割負担の対象となるのは、収入から控除などを差し引いた所得160万円以上、年金収入だけだと280万円以上の人。

 厚生労働省の推計では在宅サービス利用者の15%、施設利用者の5%がこれに当たる。県内では、介護認定を受けた65歳以上高齢者26万2189人のうち、13・4%の3万5198人が対象となる見込みだ(昨年4月時点)。

 該当するかどうかは、市町村から送られる負担割合証で確認できる。那覇市は6月末現在、1万2769人に送付、うち1021人(7・9%)が該当した。

 特別養護老人ホームや老人介護保険施設など施設の利用料は、1割負担のままでも影響を受けるケースが出る。

 入所者が市町村民税非課税であれば適用された施設の部屋代や食費などの補助が、8月からは配偶者が課税対象なら適用外となるため。単身で1千万円以上、夫婦で2千万円以上預貯金がある場合も、補助の適用外となった。

 夫婦で年収520万円以上ある「現役並み世帯」は、月額利用料が3万7200円以上は払い戻しされる高額介護サービス費の上限額も4万4400円へ引き上げられる。

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 負担引き上げの背景にあるのは、年金・医療・介護など社会保障費の抑制だ。同費は本年度予算で31・5兆円となり、20年前の11・5兆円から20兆円増えた。2000年度3兆6千億円だった介護保険費用も14年度10兆円に上り、団塊の世代が75歳以上になる25年は20兆円になると試算されている。

 右肩上がりの費用をうけて政府が提案し、昨年6月成立したのが「地域医療・介護総合確保推進法」だ。医療・介護にかかる19の改定をまとめた一括法である。安倍晋三首相はことし2月の施政方針演説で「利用者の負担を軽減し、保険料の伸びを抑えるため、増え続ける介護費用全体を抑制する」と言及。同法に基づく介護保険制度改定の柱を「サービス縮小」「応分負担」と位置づけた。

 「要支援1、2」向けの一部介護サービスの市町村移行や、特養ホーム入所者の厳格化など改定の一部は4月から始まっている。

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 しかし介護サービス移行を本年度中に実施できる市町村は全国7・2%にとどまり、沖縄はゼロ(1月時点)。特養ホームの入所待機者は増加の一途をたどり、介護サービスの質と量は明らかに不足している。そんな中で利用者の負担増は、さらに利用を遠ざけることに直結しかねない。

 介護費用の抑制を利用者の負担で補う今改定は、そもそも超高齢社会において焼け石に水。制度創設の理念である「介護の社会化」から見れば本末転倒である。社会化を担保する改定こそ必要だ。