昨年5月、台湾の高雄港からヨットに乗船し、覚醒剤約597キロ(末端価格約417億円)を密輸しようとしたとして、覚せい剤取締法違反(営利目的輸入未遂)や関税法違反などの罪に問われた台湾籍のA被告(55)とB被告(45)に対する裁判員裁判の判決公判が9日、那覇地裁であった。多田裕一裁判長は両被告に懲役10年、罰金500万円を言い渡した。

(資料写真)那覇地裁

 判決理由で多田裁判長は「国内に大きな害悪がもたらされる危険があった組織的な犯行」と批判した一方で、「密輸の準備行為はあったが、陸揚げされる客観的な危険性が発生したまでとは認められない」と指摘。輸入未遂罪を主張する検察側の主張を一部採用せず、準備行為を罰する予備罪の成立にとどめた。検察側は、控訴するかについては未定とコメントした。

 判決は「両被告は船長の指示を受け、東シナ海付近で覚醒剤が入った土のう袋を小舟から受け取り、ヨット内で保管した」と認定。「中身はお茶だと思っていた」などの無罪主張に対し、「船長に中身を尋ねるなど、積み込みの時点で違法薬物かもしれないと認識していた」と退けた。

 事件は1度の覚醒剤摘発量としては国内最多で、検察側はA被告に懲役14年、罰金600万円、B被告に懲役12年、罰金600万円を求刑していた。事件を巡っては、台湾籍の船長と女の2人も起訴されている。