沖縄戦によるトラウマ(心の傷)をテーマにした「戦争とこころ-沖縄からの提言」(沖縄タイムス社)の発刊を記念したトークショーが11日、那覇市の書店で開かれた。本は、精神科医や研究者、ジャーナリストら幅広い分野の専門家でつくる「沖縄戦・精神保健研究会」の編著。この日、執筆に当たった3人が登壇して戦争トラウマの実態を語り、40人余りが熱心に耳を傾けた。

研究や診療、取材を通して出合った戦争トラウマの実例を語った(左から)當山冨士子さん、蟻塚亮二さん、山城紀子さん=11日、那覇市・ジュンク堂書店那覇店

 元県立看護大教授の當山冨士子さんは1990年に調査したケースを紹介した。戦時中、日本兵に気絶するまで殴打された80代の男性はてんかん発作に苦しめられていた。「戦後45年たっても影響を引きずっていた。戦争は終わっていない」と述べた。

 精神科医の蟻塚亮二さんは夜中に何度も覚醒する「奇妙な不眠症」患者に共通して沖縄戦体験があり、ナチスのホロコースト収容所から生き延びた人たちとも症状が似ていたことを説明。「戦争PTSDの問題を全国に広げたい」と訴えた。

 ジャーナリストの山城紀子さんは6月になると介護施設に入所する高齢者が落ち着かなくなることや、戦死した夫のことを泣きじゃくりながら語る女性に触れ「『心の傷』という視点で沖縄戦をもう一度捉え直す必要がある」と指摘した。