名護市辺野古の新基地建設をめぐって、沖縄防衛局は埋め立て本体工事に向けた実施設計などの協議書を県に提出した。

 2013年12月、前知事が埋め立てを承認した際、防衛局と交わした「留意事項」に沿った手続きである。留意事項には実施設計や環境保全対策について県と事前に協議することがうたわれている。

 防衛局が県へ提出したのは、計画する護岸22カ所のうち海底の地質などを調べるボーリング調査を終えた12カ所の実施設計と環境保全対策に関する協議書だ。

 防衛局の担当者は県庁を訪れる、わずか10分前に電話を入れ、唐突に文書を提出した。防衛省はこの書類をもって「協議を開始した」と勝手に解釈し、県からの質問受け付けも「3週間ほど」と一方的に期限を切る。

 国と地方自治体の関係は対等である。双方が話し合って決めるのが協議であるはずなのにむちゃくちゃな対応だ。

 いくら事務手続きの一環だといっても、辺野古の海に投下された大型コンクリートブロックがサンゴ礁を傷つけているとの県の訴えには耳を貸さず、その確認のため県が求める潜水調査さえ実現していない中でのことである。

 ボーリング調査が終了する前に協議文書を提出するのもおかしい。果たして有効な環境対策を講じることができるのか。

 「早期の本体工事着手」(防衛省幹部)という自分たちの政治的な都合だけを優先させた狡猾(こうかつ)なやり方だ。

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 国が強引に手続きを進めようとする背景には、市民の抗議行動や台風の影響による工事の遅れがある。

 来年1月に控える宜野湾市長選、続く県議選、参院選への影響を考え「前倒し」を要望する自民党内の声にも配慮したのだろう。

 翁長雄志知事が埋め立て承認取り消しを表明する前に、新基地建設を既成事実化しようとの思惑も透ける。

 そもそも国には協議以前に答えてもらいたい問題がいくつもある。 

 公明県本の金城勉県議は「本来ならすぐに工事を中止するべきだ。岩礁破砕の確認のための県の調査は受け入れず、自らの要求だけをする国の姿勢では信頼関係は築けない」と指摘した(25日付本紙)。

 正論である。まったく同感だ。

 現状は環境保全対策について、事前協議する環境すら整っていない。

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 県はボーリング調査終了後にフロートを撤去するよう指示している。防衛局は撤去時期を明確にしていない。国がボーリング調査の工期を度々延長するのは反対運動を封じるフロートを残すための戦略で、その間に仮設工事が進むのではとの懸念が残る。

 県が協議に応じなくても「協議を拒否した」として、実質協議抜きに本体工事が強行される可能性もある。

 国の対応はあまりにも一方的で、早期着工は自治を破壊する。

 県は協議以前に疑問点や懸念をまとめ、国の考えをただした方がいい。