2017年(平成29年) 11月20日

大弦小弦

[大弦小弦]その名も「豚王」選手権という駆けっこ大会が・・・

 その名も「豚王」選手権という駆けっこ大会が昨年まで那覇市で開かれていた。豚肉をもっと食べてもらおうと県養豚振興協議会などが企画。参加者は35キロもある枝肉を担ぎ、ふらついたり転んだりしながら30メートルを走った

▼笑顔はじける大会の様子が全国ニュースで報じられた後、本土の同業者から連絡があった。皮をはぎ頭を切り離した生々しい枝肉を見せると業界への偏見を招くのでは-

▼意見を聞いた沖縄の事業者は反発しなかった。むしろ「なるほど、と思った」。いわれなき差別にさらされる本土の同業者の痛みを知っているからだ

▼肉食は本土で長くタブー視されていた。仏教の影響だという。広く食べるようになった明治以降も食肉解体は「ケガレ」た仕事で、被差別部落の人々に任せるものという間違った考えが残った

▼一方、沖縄は中国の食文化の影響があって肉食の歴史が長い。家庭で家畜をつぶして食べることも多く身近な作業だった。「ししやー(肉屋)と言えば裕福な家の代名詞」でもあり、差別を感じることはないと事業者は語る

▼肉をおいしく食べておきながら解体を遠ざける本土の因習は、日米安保が必要だと言いながら基地を沖縄に封じ込めておく構図にも通じる。ただ嫌だからと敬遠し続ける人々に、肉を食べる資格、安保を語る資格はあるだろうか。(阿部岳)

ルポ 沖縄 国家の暴力 現場記者が見た「高江165日」の真実
阿部 岳
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