公有水面の埋め立てを巡って、免許権者である県知事の意向がこれほど無視され、強引に工事が進められてきた事例が過去にあっただろうか。

 名護市辺野古沿岸部への新基地建設で沖縄防衛局は14日、埋め立てに使う石材の海上からの搬入を始めた。

 前日の13日に国頭村・奥港でダンプカー約50台分の石材を積み込んだ台船が、大浦湾北側の「K9」と呼ばれる埋め立て護岸に接岸し、石材が荷揚げされた。

 防衛局は従来通り、キャンプ・シュワブゲートからも資材搬入を進めており、今後、陸路と海路の両方から資材を運び入れる考えだ。埋め立て工事を一気に加速させる狙いがある。

 県は、海上搬入のため「K9」護岸を使って石材を海上搬入することは環境保全図書の中では予測されていないと指摘し、協議がまとまるまで海上搬入をしないよう防衛局を行政指導していた。

 だが、防衛局は「護岸自体の設計内容を変更するものではない」と、県の指導に応じていない。なぜ、これほどまでして工事を急ぐのか。

 埋め立てを既成事実化することによって県民の中に「もう引き返せない」という意識を植え付け、「辺野古はもう済んだこと」だという主張を掲げて来年の名護市長選、県知事選を有利に進める-というのが政府の狙いである。

 国と県の考えに隔たりがある以上、工事を停止し、話し合い協議を進めるのがまっとうな道である。強硬一点張りで基地を押しつけるようなことがあってはならない。

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 沖縄防衛局は、海からの資材搬入のため、奥港だけでなく本部港や中城湾港も利用する考えだ。

 奥港の使用を許可したのは実は県である。

 「辺野古阻止を主張しながら、海上搬入のための港の使用を認めたのはなぜか」-抗議行動を展開してきた市民の中には、県の判断に対する疑問と不信感が広がっている。

 港使用を許可しなかった場合、「裁判を起こされたときに県は負ける」というのが県の言い分だ。それで反対派住民が納得するだろうか。

 使用許可は「港湾施設使用許可にかかる審査基準」に照らして妥当な判断だったのか、県は県議会与党や反対行動を担ってきた市民団体に丁寧に説明する必要がある。

 最高裁判決に基づいて埋め立て承認取り消しを取り消したときもそうだったが、重要な決定を下す際の事前調整や県民への説明が不十分だ。

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 嘉手納基地に暫定配備された最新鋭ステルス戦闘機F35Aによる爆音禍で嘉手納町議会は14日、米空軍や外務省沖縄事務所などを訪ね窮状を訴えた。爆音禍は尋常でない。

 この日、伊江島補助飛行場では強襲揚陸艦の甲板に摸した着陸帯の舗装作業が始まった。完成すれば海兵隊のF35Bとオスプレイの訓練が活発化するだろう。

 負担軽減とは真逆の、機能強化のための動きが一斉に表面化しているのだ。時機を失することなく、日米合意の見直しを求める新たなうねりをつくり出す必要がある。