アリに甘い蜜を与えるかわりに、天敵から身を守ってもらう「互恵的な関係」を築いていると思われていたシジミチョウの幼虫は、実はアリの脳内物質ドーパミンの量を変化させて行動を操り、ボディーガードを務めるよう強制していた-。両者の「共生関係」に新たな視点から光を当てる論文を琉球大学農学部の辻瑞樹(ペンネーム・和希)教授らの研究グループがまとめ、米国のオンライン科学雑誌「カーレント・バイオロジー」(31日付)に掲載された。

ムラサキシジミの幼虫に群がるアミメアリ(辻和希教授提供)

辻和希教授

ムラサキシジミの幼虫に群がるアミメアリ(辻和希教授提供) 辻和希教授

 研究に使われたのは、ムラサキシジミの幼虫と、それに付き添うアミメアリ。

 辻さんらのグループは、アリは幼虫が分泌する蜜をもらえなくても他の餌を探せるが、幼虫はアリがいなければすぐにハチなどに捕食されてしまうことに着目。アリを引き留めるために、幼虫が何らかのメカニズムを持っているとする仮説を立てた。

 アリの行動を詳細に調べたところ、蜜を食べた後は歩行活動が減って幼虫の周りに長くとどまる上、外敵に対して攻撃的になることが判明。さらにアリの脳内物質を測定した結果、ドーパミン量の減少がそうした行動変化に深く関わっていることを突き止めた。

 辻教授は「これまで考えられてきたような『相利共生』ではなく、シジミチョウはあくまで利己的な理由から蜜を与えてアリを操っている。ドーパミンがどのような生理機能をもたらすかを解明する手掛かりにもなる」と話している。

 研究グループのメンバーはほかに、北條賢日本学術振興会特別研究員(研究当時)と、ハーバード大学比較動物学博物館のピアスナオミ教授。