国会で取材すると、さまざまな「慣例」に出合う。各委員会の議事進行が理事会で決められていたり、衆院解散時に議場で万歳したり。質問時間を野党に多く配分するのもそうだ

▼国権の最高機関であり、唯一の立法機関。そう憲法でうたわれる国会は、それだけ「権威」が伴い、議会運営上のしきたりを重んじる。国民の代表たる議員には、相応の「品位」が求められる

▼それからすると、この発言はいかがなものか。「犯罪者だと思っている」。足立康史衆院議員(日本維新の会)は15日の衆院文部科学委員会で、自民、立憲民主、希望の各党議員を名指しした

▼国会審議という公の場で、根拠を示さず犯罪者呼ばわり。「品位を失墜させる」「あまりにも度を超す」と批判が出るのも無理ない。“暴言”はこれだけにとどまらない

▼学校法人「加計学園」の問題に関する朝日新聞の社説を巡り、ツイッターで「朝日新聞、死ね」と投稿。文科委でも「捏造(ねつぞう)」と主張した。足立氏は発言撤回の意向と伝えられるが、相手を断罪する強い表現はソーシャルメディアで広まりやすく、フェイクニュースの温床になりかねない

▼多くの国会議員を輩出する松下政経塾を立ち上げた松下幸之助は「国民はその程度に応じた政府しかもちえない」との言葉を残す。政治は私たちを映す鏡でもある。(西江昭吾)