【那覇】市の桜坂劇場の近くで62年間、ほぼ年中無休でマチヤグヮーを切り盛りしてきた平識ツル子さん(90)が、8月から腰痛治療のため一時休業する。9月ごろから再開する予定で、常連客は「寂しいけれど、『夏休み』と思ってゆっくり休んでほしい。また元気にお店に出てきて」と願っている。(渡慶次佐和)

定位置の椅子に座り、近隣の住人らと談笑する平識ツル子さん(右から2人目)=7月30日午後、那覇市牧志の平識商店

 南大東島出身の平識さんは、疎開した大分で終戦を迎え、親戚を頼って久志村汀間(当時)に引き揚げた。結婚し5年過ごしたが、暮らし向きは良くならず、一家で働き口を求め那覇市へ移り住んだ。

 1950年代以降、国際通り周辺は那覇随一の繁華街となった。

 平識さんは平和通りとつながる桜坂通りで、木箱二つほどの果物売りから始め、数年後に通りにあった旧沖縄相互銀行跡地に「平識商店」を構えた。

 当時は近隣に映画館が多く、封切り時はかき入れ時。アイスケーキを上映時間に合わせ映画館の入り口で販売すると、飛ぶように売れた。

 向かいには大病院、裏手には洋裁学校もあり、「飲み屋街も近くにあるから、昼夜問わずとにかく人が多かった。要望があれば24時間店を開けたこともあったから、自宅に帰る暇がなかったねぇ」と苦笑混じりに話す。

 桜坂通りには平識さんの店のほかに、時計店や写真店、花屋など多くの店舗が軒を連ねていたが、当時の活気あふれる通りを知るのは、もう平識さんぐらいとなった。

 「みんなが集まってくれるのが、何よりうれしい。体と相談しながら、この場所で続けたい」。通りを行き交う常連客に手を振りながら笑顔で語った。