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  • 辺野古一時中断は政府と沖縄県が極秘裏に準備を進めてきた
  • 安保法案で支持率が低下する安倍政権は柔軟姿勢をアピール
  • 沖縄側は歓迎する一方「アリバイづくりに使われる」と懸念も

 菅義偉官房長官が4日、電撃的に発表した辺野古新基地建設に向けた作業の「一時中断」。4日朝、知事公舎に集められた与党議員の間でさえ「承認の取り消しに間違いない」といった臆測が飛び交うほど、沖縄県と政府が極秘裏に交渉を進めてきた計画で、県内に衝撃が走った。県との対話に踏み出した政府の姿勢を評価する声が上がる一方、県内からは「県民の声は丁寧に聞いた」とアリバイづくりに使われることへの懸念も渦巻く。(東京支社・大野亨恭、政経部・福元大輔、銘苅一哲)

辺野古工事の一時中断発表を受け、記者会見する翁長雄志知事=4日午前11時11分、沖縄県庁

辺野古新基地建設をめぐる動き

辺野古工事の一時中断発表を受け、記者会見する翁長雄志知事=4日午前11時11分、沖縄県庁 辺野古新基地建設をめぐる動き

▽リスクと思惑

 「一歩前進だ」。翁長雄志知事は菅氏が発表した直後に開いた会見で、こう強調した。県関係自民党国会議員からも「作業を止め、協議の場を設けた官房長官の決断を大いに評価する」と歓迎の声が上がった。

 菅氏は会見で辺野古移設案を見直すのか問われたが「問題解決に向け協議する」と述べただけ。これまで繰り返してきた「唯一の解決策」にも言及せず、野党議員の一人は「辺野古の見直しに含みを持たせている」と、新基地計画の白紙撤回に期待を寄せる。

 だが、官邸筋は「辺野古は既定路線。10月中旬には着工の予定だ」と辺野古見直しを否定する。では、「再開時に沖縄の大きな反発を招く」(政府関係者)大きなリスクがあるにもかかわらずなぜ政府は一時中断を受け入れたのか。

 防衛省幹部は「安全保障関連法案の強行採決などで政権の支持率が低下する中、さらに世論の反発を招きかねない県との決定的な対立は避けたいとの思惑がある」と背景を解説する。話し合いを求める沖縄に丁寧に応じることで、世論を味方に付けようとの狙いが透けて見える。

▽次の一手注視

 これに対し県幹部は「冷却期間」を置き、柔軟さをみせることで「譲歩したが駄目だったというアリバイづくりに使われるのではないか」との危機感を募らせる。

 県議会与党内では政府の判断を一定評価する意見が大勢を占める一方、ある県議は「政府は中断に加え概算要求などを使い、沖縄の声を聞く姿勢のアピールを狙っている」と指摘する。

 同時に、「それでも反対し続ける沖縄にとって、中断は国内世論に批判されるというデメリットになる可能性もあるし、体を休めつつ新基地阻止の作戦を練る期間というメリットもある」と冷静な反応を示す。

 政府は辺野古移設の方針を崩しておらず、県内では「次の一手」に注目が集まる。だが、県幹部は、「話し合いの中で動いてくる。協議期間が終わって何も変わらないこともあり得るだろう」と慎重だ。

 振興策や負担軽減策が矢継ぎ早に示され、揺さぶられるのでは、という懸念もある。別の幹部は野球に例え、こう言った。「変化球を見極めながら、バットを振らなければならない」