2017年(平成29年) 12月12日

大弦小弦

[大弦小弦]末期がんと闘い、3度の危篤を乗り越えた姿は…

 末期がんと闘い、3度の危篤を乗り越えた姿はダウンから立ち上がるボクサーそのもの。興南・沖尚ボクシング部で全国高校王者を延べ40人育てた金城眞吉さんが16日、73歳で生涯を閉じた

▼45年間の指導で教え子は400人。筆頭の優等生は具志堅用高さん(62)だが、多くが手の付けられないウーマクーだった。「子どもの居場所」なんて言葉はない時代。自宅を改造した合宿所で預かり、妻の故清子さんと二人三脚で受け止めた

▼昨年5月、ステージ4のがんが発覚。今年9月に倒れてから2カ月余の入院中、かつて家庭や学校がさじを投げた中年たちの見舞いは途切れることがなかった

▼眠っている眞吉さんの細くなった体をさする。「俺たち、こんな小さな手でしごかれたんだな」「監督と出会わなければ、今どうなっていたか」…。口々に出る思い出話が絆の強さを物語る

▼4度目の危篤は15日。か細い呼吸なのに、最終ゴングは絶対に鳴らそうとしなかった。日付が変わって到着した具志堅さんを待っていたかのように、腕の中で逝った。選手に何万回も言ったであろう「自分に勝て」を自ら示した最期だった

▼本職は消防士でありながら、若者のハートに火を付け続けた名伯楽の人生。熱くなりすぎて時にうんざりするほど長かったゆんたく、眞吉さん、もう一度聞かせてよ。(磯野直)

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