【伊江】2015年度文化庁文化芸術の海外発信拠点形成事業(主催・NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク)によるダンス公演「祈り」が7月31日夜、かつて伊江島の祭祀(さいし)、政治の中心地だった通称ウシャッパドゥ毛(もう)跡(現在の村中央公民館前広場)で開催された。

月明かりに照らされて躍動的な踊りを披露するダンサーら=伊江村・ウシャッパドゥ毛跡

 「祈り」を披露したのは、南アフリカのジンバブエ出身で米国ニューヨークを拠点に活躍する振付家でダンサーのノーラ・チッポムラさんと日本人ダンサーの垣尾優さん、佐藤健大郎さん、サウンドアーチストの田中真由美さん、音楽・演奏のShinBowさんら5人。

 チッポムラさんは、ダンス作品を制作するため7月2日に来沖し、伊江島や宮古島をはじめ那覇市、宜野湾市、本部町を訪問。地域の歴史や文化、風土、風習、伝統芸能などに接しながら、ワークショップやトークショーを開催し、独自の作品づくりに取り組んできた。

 ウシャッパドゥ毛跡の特設会場は、芝生の上に円形状に砂と一部にサンゴ礫(れき)を敷き詰め、背後にはアコウとタブの古木を赤の毛糸で縦横斜めに直線を浮き立たせた。電照菊の照明と満月の月明かりのコントラストが、神秘的な雰囲気を醸し出していた。

 チッポムラさんらは、白、赤、黄色のウエディングドレスを身にまとい、ジンバブエの音楽や三線の音色にあわせて、全身のしなやかさを生かした躍動的なダンスと独自のコンテンポラリーダンスで観客を魅了した。

 会場には1カ月間、沖縄を体感して創作されたダンスと島の自然風土が融合したパフォーマンスを一目見ようと、村内外から約200人の観客が訪れ、会場を照らす満月とダンスの織りなす幻想的な空間に食い入るように見入った。鑑賞した並里政子さん(68)は「2回目の満月の日に沖縄情緒満天の雰囲気で、ノーラさんたちが全身全霊で祈りを表現する姿に世界のつながりを実感しました」と感動冷めやらぬ表情で話した。