ホロコーストの残酷な歴史を二度と繰り返さないためにも、人類はこの事実を忘れてはいけない。その一方で人間はその苦しみや憎しみを抱え続けては生きていけない。抱えて生きるには辛すぎる感情を「時間」がいい意味で風化させた、現在のドイツの日常にスポットを当てた作品。

「ブルーム・オブ・イエスタディ」の一場面

 ナチスの戦犯を祖父に持ち、親族の罪と向き合うべくホロコースト研究所に勤めるトトは過去に縛られて生きる真面目すぎる中年男。

 彼の前に現れたのは暗い歴史をブラックジョークに変えホロコーストさえもおちょくるユダヤ人女性ザジ。ナチスの犠牲になった祖母を持ち、恋話とホロコーストと下ネタを一緒くたに話す若いインターンに毎日混乱の極みだ。しかし不幸な歴史に傷つきながらもポジティブな表現をやめないザジにやがてトトはひかれ、2人は恋に落ちていく。(桜坂劇場・下地久美子)

 ◇桜坂劇場で25日から上映予定