【三重県で松崎敏朗】辺野古新基地建設の反対運動を取り上げたことを問題視し、三重県などが後援を取りやめた写真展が9日、最終日を迎えた。後援取り消しのきっかけは「市民からの電子メール」とされているが、主催者は社会問題を考える活動が狭められる空気感を危ぶむ。

辺野古の反対活動を取り上げた写真を見ながら「つぶしにかかる圧力を感じた」と話す松生代表=9日、三重県津市の津リージョンプラザ

 三重県の県庁所在地の津市。写真展は市役所に隣接する施設の3階で行われた。世界の報道写真を取り上げる月刊誌「DAYS JAPAN」の写真賞を獲得した作品70点のほか、戦後70年を沖縄の姿とともに振り返り、米軍キャンプ・シュワブのゲート前や海上の抗議活動を伝える写真230点を「辺野古新基地に抗(あらが)って展」と題して並べる予定だった。

 後援取り消しの理由になったのは、告知用のチラシに書かれた「抗って」という文字。チラシを見て問題視した市民からのメールを受けて検討し、国の方針に反対するのが政治的な意味合いを帯びると判断したとみられる。

 主催するフォトジャーナリズム展三重に取り消しの方針が伝えられたのは、開催前日の4日。チラシは2カ月前から公的施設にも置かれていたが、その間は問題視されなかった。開催に携わった川辺一弘さん(53)は「社会問題を取り上げるのが政治的とされることに納得できない」と話す。

 実際に足を運んだ人も疑問の声を漏らした。最終日に訪れていた津市の公務員女性(46)は「政治的とは思えない」と首をかしげた。「写真は沖縄の率直な訴えを伝えるものと感じた」

 開催した市民グループの松生浩久代表(53)は「『やっぱりきたか』と感じた」。全国各地で、社会問題を取り上げる企画展示などに横やりが入るケースが起きている。

 三重県内では先月、集団的自衛権をテーマにした元自衛官の講演で、鈴鹿市が後援を取り消す事態も起きた。松生代表は現状をこう危惧する。

 「もの申す人たちへの圧力を感じる。さまざまな問題を考える機会が失われれば、社会全体の不利益になるはずだ」