また米軍ヘリが墜落した。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る政府と県の集中協議は、沖縄の現実をまざまざと見せつけたような、波乱含みの幕開けとなった。

 米陸軍のH-60型ヘリが12日午後、うるま市伊計島の南東約14キロの沖合で、米輸送艦への着艦に失敗し、墜落した。尾翼部分が折れるなど機体の損傷が激しく、乗員17人のうち6人が負傷した。

 この日午後、辺野古問題を集中協議するため県庁で菅義偉官房長官と会談した翁長雄志知事は冒頭、墜落事故に触れ、こう語った。

 「2時間ほど前にUH60ヘリが嘉手納沖に墜落した。(5月に)ワシントンに行くとき立ち寄ったハワイでは、ちょうどそのときMV22(オスプレイ)が墜落した」

 翁長知事は、二つの墜落事故を引き合いに出して、基地周辺に住んでいる人々の負担がいかに大きいかを強調したのである。

 県の調べによると、復帰後の米軍航空機による事故は2014年12月末現在、固定翼機の墜落28件、ヘリの墜落は17件にのぼる。不時着や部品落下事故など「日常的」な事故を含めると、その数は大幅に増える。

 今回の事故機には陸上自衛隊・中央即応集団に所属する2人の自衛隊員が同乗していたことも明らかになった。自衛官は2人とも負傷しているという。自衛隊員はなぜ、米軍ヘリに搭乗していたのか。

 日米の軍事一体化を象徴する事故だけに、政府はそのあたりの事情を詳しく明らかにすべきである。

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 04年の、きょう8月13日は、沖縄国際大学の構内に米軍ヘリが墜落、炎上した日でもある。

 校舎を焦がし、民間地域の建物などに大きな被害を与えただけでなく、米軍が規制線を張って現場への立ち入りを阻止し、日本側の主権行使が著しく制約を受けた事故でもあった。

 13年8月5日には嘉手納基地のHH60ヘリがキャンプ・ハンセンに墜落した。立ち入り調査が長いこと認められず、宜野座村は大川ダムからの取水をおよそ1年間も中止せざるを得なかった。

 裁判で「違法」だと指摘された米軍機による騒音被害、頻繁に発生する米軍機事故と墜落の不安、事故が発生したときの米軍優位の対応、米兵によるさまざまな事件-これらの現実は、沖縄の基地維持を最優先してきた政府の不作為や怠慢によってもたらされたものである。その責任は重大だ。

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 翁長知事と菅官房長官との話し合いは、すれ違いに終わった。普天間飛行場の移設先はなぜ、辺野古でなければならないのか。政府は「抑止力の維持・強化」ということを強調するが、辺野古にオスプレイの新基地を建設して、中国の何を、どのように抑止しようというのか。

 県はこれらの疑問を逐一、政府にぶつけ、その回答をつぶさに公表してもらいたい。 今回の墜落事故は辺野古への新基地建設が決して問題の解決にならないことをあらためて明らかにしたといえる。