クルーズ船の沖縄への寄港が急増している。沖縄総合事務局によると、2015年の寄港回数は過去最多の247回になる見通しだ。162回だった14年の実績に比べ5割増となる。

 那覇では、ビルと見まがうほどの大型客船が港に停泊し、下船した乗客がバスツアーに繰り出したり、街でショッピングを楽しむ光景が頻繁に見られるようになった。

 7月28日には、大型クルーズ船の那覇港寄港が3隻重なった。中国・厦門から2隻、台湾・基隆から1隻。合わせて約7500人が訪れた。この日は宮古島市でも季節定期便が初就航し、厦門から平良港に入った。同じ日に4隻が県内に寄港したのは初めてだ。

 今月1日には、世界最大級のクルーズ船(16万7800トン)が中国・上海から那覇に初寄港した。約4千人が上陸し、大型バス約120台で観光に繰り出した。

 県文化観光スポーツ部によると、14年度の外国人入域観光客数は98万6千人。前年度に比べ35万8800人(57・2%)の大幅増となった。航空路線の拡充のほかクルーズ船の寄港数増も押し上げる要因になった。

 中国を中心にアジア圏のクルーズ熱が増す中、県内への寄港の需要は今後も高まるとみられている。クルーズ船は一度に千人規模の人数が訪れるほか、手荷物制限がないため買い物目的の観光客も多く、移動にはバスやタクシーを使うので経済効果が大きい。県も観光政策の中で誘致を掲げている。だが、受け入れ面の課題は少なくない。

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 最大の課題は、最も需要の高い那覇港で、クルーズ船専用バースが若狭にある1隻分のみ、だということだ。

 那覇への寄港が2隻以上になる場合、調整がつけば貨物専用の那覇新港埠頭(ふとう)国際ターミナルなどを利用する。ただ、本来は貨物用だけに不便な点も多い。

 まず、CIQ(税関、出入国管理、検疫)を船内で行うため、手続きに時間がかかる。

 下船しても一帯はコンテナが積まれ、作業車両が往来する区域だ。安全面への配慮から、岸壁近くまでの乗り入れが許されているのは、ツアーバスと、待合所まで乗客を運ぶシャトルバスに限られている。

 1日に3隻が着岸した日、新港埠頭では、船から下り、炎天下シャトルバスを待つ乗客から不満の声が漏れた。海の玄関口で、快適性や利便性に難があれば、沖縄全体のイメージダウンにつながりかねない。

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 那覇港では、過密状態を理由に、今年4月から17年末までのクルーズ船の寄港を43件断っていた。全国で多くの自治体がクルーズ船の誘致にしのぎを削る中、みすみす機会を手放したことになる。

 那覇港管理組合はクルーズ船専用の第2バースの整備を検討しているが、場所すらまだ確定していない。

 そうであればまず、県内の他の港の利用を働き掛けたり、貨物専用のターミナルでも快適に利用できるよう、県をはじめ関係機関が連携して取り組んでほしい。