【平安名純代・米国特約記者】米陸軍トップのオディエルノ参謀総長は12日、国防総省での記者会見で、米陸軍ヘリが伊計島沖で着艦に失敗し7人が負傷した事故が、特殊作戦部隊の訓練中に発生したことを明らかにしたうえで「残念だが事故は時々起きる」と発言した。

国防総省で記者会見する米陸軍のオディエルノ参謀総長=日、ワシントン近郊(共同)

 オディエルノ氏は「12日早朝にヘリ墜落の報告を受けたが、詳細は調査中でまだわからない。いくつかの国との特殊作戦部隊の訓練中だった」と説明。その上で「我々の日々の任務にリスクはつきものだ」「一つの事故に過剰反応するつもりはない。残念だが事故は時々起きる」などと強調した。

 「(今回の事故が)日本の内政上、どう問題になるか予想するつもりはない」などと事故を重要視しない姿勢も示した。

 複数の国防総省筋によると、墜落したヘリは陸軍第160特殊作戦航空連隊所属のMH60ブラックホークで、海賊に乗っ取られた船を奪還するための低空飛行訓練を実施していた。読谷村のトリイ通信施設に駐留している第1特殊作戦群(約300人)は、平時は他国との共同訓練や災害救援などを行うが、有事の際には強襲作戦などの特殊作戦を担う。

■地元感情、視野に入らず 国防・国務省筋、反応を危惧

 名護市辺野古の工事を一時中断し、沖縄入りした菅義偉官房長官と翁長雄志知事の第1回集中協議の目前という「まさかのタイミング」の事故をめぐり、米政府関係者らは平静を装いつつ、県民の反対が高まるのを予想し対応を練るなど、神経をとがらせている。

 12日午前8時ごろ、米陸軍トップのオディエルノ参謀総長に事故の発生を記した報告書が届けられた。午後に国防総省で予定していた記者会見で、事故に関する質問が出ることを予想し、幾つかのアドバイスがなされた。

 オディエルノ氏は事前のブリーフィング通り、事故の詳細は言及しなかったものの「事故に過剰反応するつもりはない」「残念だが事故は時々起きる」などと発言した。米軍を主体にした発想で、事故の被害を受ける側となる地元住民の感情が視野に入っていないことを露呈している。

 発言を聞いた国防総省筋は「いわゆる米軍の本音だが、米軍基地が過剰集中する沖縄の日常にリスクが伴うと言っているのに等しい。県民感情を刺激しないといいが…」と雲行きを案じた。ある国務省筋は「沖縄の反対がさらに高まるのではないか」と危惧。「こういう意識が現地の事情を複雑にしていることに米軍側は気づいていない」とため息をついた。(平安名純代・米国特約記者)