終盤に崩れた初戦と違い、たくましい2年生左腕が聖地を躍動した。エース比屋根雅也は127球を投げ、鳥羽打線を4安打に抑えて完投。「3点取られたが、最後まで粘り切れた」と誇らしげに振り返った。

5回表無死一、二塁のピンチで、ベンチのサインを確認する興南エース・比屋根雅也(左)と捕手の佐久本一輝(松田興平撮影)

 初戦は甲子園の雰囲気にのまれ、八回に死球から崩れて4失点で降板した。今回、比屋根と捕手の佐久本一輝はコーチの助言を受けて自ら「解説者」になりきり、試合中、1球ごとにつぶやいていたという。

 比屋根は「今のは甘い球とか、もう一人の自分が冷静に実況することで落ち着ける」、佐久本も「自分たちのプレーを第三者の目線で考えることができた」と効果を説明する。1-0の三回、死球を機に2失点したが「前と違って焦らなかった」と明かした。

 仲間の気遣いも力に変えた。八回無死一塁のピンチには、主将で遊撃手の比嘉龍寿から身ぶりで「思い切り腕を振れ」と鼓舞され、鳥羽の4番を打ち取った。

 初戦とは違う勝利の味にも、比屋根の表情に緩みはない。「準々決勝がすぐある。勝ちに浸っている暇はない」と言い切った。

(粟国祥輔)