公的機関の職員を名乗り、医療費や保険料の払戻金があると偽って現金自動預払機(ATM)を使ってお金を振り込ませる「還付金詐欺」が7月から県内で相次いでいる。

 県警によると、16日現在、還付金詐欺とみられる不審電話が計67件あり、実際に10件の被害が出ている。被害総額は約1020万円に上る。

 還付金詐欺が確認されるのは県内では約3年ぶりだ。

 名護市内の70代女性が被害に遭ったケースは、携帯電話に税務署職員を装う男から「医療保険の過払い金がある」との連絡が入った。男に指示されるまま、近くのコンビニのATMを操作し、結果的に約70万円をだまし取られた。自分の口座から相手の口座へ送金された形だが、女性は自分の口座の残高を確認するまで、「現金に触れていないし、詐欺だとは思わなかった」と話している。

 未遂に終わったが、本島中部の80代女性が「払戻金があるといわれればもらいたい」というように高齢者の心につけ込んだ許せぬ犯罪である。医療費などの還付金がATMで支払われることはない。お金にからむ甘い話に簡単に乗らない心構えも必要だ。

 70~80代の高齢者が狙われている。約200万円をだまし取られた男性も複数いる。

 気になるのは、県警が事件を1件も摘発していないことだ。「検挙に勝る防犯なし」が警察の鉄則であることを考えれば、地道な捜査で容疑者を摘発することが犯罪の抑止につながるからである。

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 還付金詐欺の手口には共通点がある。非通知の電話でかかってくる、何らかの払戻金があると告げられる、1人でATMに向かわせる、ATMの操作を携帯電話で指示する-ことなどである。

 県や県警は「携帯電話を持ってATMに行くように、と言われたら、還付金詐欺とみて間違いない」と注意を呼び掛ける。電話では「手続きはきょうまで」などとせかすようだが、先に挙げた還付金詐欺の特徴が一つでもあれば、電話を切って警察や家族に相談することだ。

 金融機関の行員が高齢者の異変に気づき、未然に防ぐケースもある。関係機関の連携が浸透している証しだ。

 自ら「撃退」した人もおり、参考になりそうだ。単刀直入に「警察に相談する」と警告した人や、「ATMの操作が分からない。直接銀行の窓口に行く」「どこから電話をかけているのか」など相手の「弱点」を突くと一方的に電話が切れたという。

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 誰でも「自分だけは引っ掛かることはない」と思いがちだ。還付金詐欺などの被害者の9割以上が「自分は大丈夫だと思った」と回答している警視庁の調査がある。

 周りに相談する人がいない高齢者は被害に遭いやすい。年を取るにつれ判断力も衰えてくる。高齢者をどう支援するか、「地域力」が問われる。

 高齢者の周囲にいる人が細やかな目を配る。スーパーやコンビニ、金融機関で携帯電話を持ちATMを操作している高齢者を見かけたら、声を掛けるなど地域全体で見守る取り組みが求められている。