米軍普天間飛行場の「5年以内の運用停止」に関する政府の説明は、相変わらずその場しのぎで、一貫性がない。「見せ掛け」や「ごまかし」を含んだ「5年以内の運用停止」は事実上破綻した、というべきだろう。

 名護市辺野古の新基地建設をめぐる政府と県の2回目の協議で、菅義偉官房長官は、「5年以内の運用停止」について「地元の協力がなければ難しい」と述べた。

 辺野古移設が条件との考えをあらためて明らかにしたのである。実におかしな説明だ。ここには「二重、三重の欺瞞(ぎまん)」がある。

 辺野古の埋め立て承認に当たって、「5年以内の運用停止」など4項目の負担軽減策を要請した仲井真弘多前知事に対し、「できることはすべて行う」と胸を張り、「知事と約束したことは沖縄県民との約束」だと大見得を切ったのは安倍晋三首相である。

 だが、米政府高官や米軍幹部は口をそろえて、「5年以内の運用停止」を否定。追い詰められた中谷元・防衛相は「幻想を与えるようなことは言うべきでない」と従来の説明を撤回し、実現が極めて困難なことを認めた。

 ところが菅長官は、この期に及んであらためて「地元の協力がなければ難しい」と主張したのである。

 仲井真前知事も指摘したように、「1日も早い危険性除去」を実現したいのであれば、地元が強硬に反対している辺野古に新基地を建設するのではなく、県外の既存基地に移す方が早くて安上がりだ。

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 新基地の完成を待たずにオスプレイの部隊を県外に移設することができれば「5年以内の運用停止」は可能だが、それが実現できれば、莫大な予算を投じ県民の反対を押し切って新基地を建設する必要はなくなる。

 「新基地建設」を実現するため、県民向けには「危険性除去」を強調する。その「真実」を問わず語りに明らかにしたのが菅発言である。

 2014年4月の日米共同声明は、辺野古への早期移設を含む基地の統合によって「長期的に持続可能な米軍のプレゼンス(存在)を確かなものにする」ことをうたっている。「抑止力」と「危険性除去」が新基地建設の便利な方便として利用されているのである。

 実際、政府には、計画見直しや譲歩の兆しは全く見られない。県との集中協議は、対話の姿勢を公に示すだけの単なるポーズ、アリバイ作りになる恐れがある。

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 埋め立て承認に当たって県と防衛省は「留意事項」を交わし、実施設計や環境保全対策に関する協議を実施することを確認した。今回の集中協議は、「留意事項」で定められた協議とは全く別物だ。

 集中協議の期間中になし崩しに「留意事項」で定める協議が実施された場合、1カ月の集中協議期間が終わった段階で、政府は間髪を入れず埋め立て本体工事に入る可能性がある。

 県は、埋め立て承認の取り消しなど、次の手を早急に準備し、「協議決裂」に備える必要がある。