子どもの貧困対策を総合的に推進する、県独自の計画が来年度から5年計画でスタートする。昨年1月に施行された「子どもの貧困対策推進法」に基づく行動計画だ。

 計画策定に当たり翁長雄志知事は、子どもの貧困対策を「克服すべき県の重要課題」と位置付け、「支援を必要とする子どもが、確実に支援につながる仕組みを構築していきたい」と語った。

 たとえ貧困であっても夢や希望を持って成長していけるよう、教育や生活、保護者の就労支援など、ライフステージに合わせた施策を推進していくという。

 日本の「子どもの貧困率」は2012年に16・3%と過去最悪を更新した。

 都道府県別のデータはないものの、1人当たり県民所得が全国一低く、子どもの貧困率に影響する母子世帯の出現率が全国平均の2倍と高い沖縄では、3~4人に1人が貧困状態と推測される。極めて切実な状況だ。

 子どもの貧困が騒がれるのは、それが成長にさまざまな影を落とすからである。

 県の高校進学率は96・4%で全国一低い。生活保護世帯で暮らす生徒の進学率は83・5%とさらに低い。若い世代の無業者率も全国一、不良行為で補導される少年も一番多かった。

 子どもの貧困の背景には家庭の「養育力の貧困」が潜んでいる。

 県は計画の基本理念に「生まれ育った環境に左右されない社会の実現」を掲げる。次代の沖縄を担う人材支援につながる対策に、県の本気度を示してほしい。

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 自ら声を上げることが難しい子どもの貧困は外からは見えにくい。

 そのため県は、貧困状態で暮らす子どもの割合や成長に及ぼす影響、貧困の連鎖を調べる予定だ。

 計画の実効性を高めるためにも、きめ細かな調査と課題の把握は欠かせない。

 基礎データに基づいた施策の展開では、重点的に取り組む項目と、具体的な改善目標を設定することが重要だ。

 県ひとり親世帯等実態調査からも分かるように、働くシングルマザーの半数が非正規雇用で平均年収は155万円という厳しい現実がある。貧困率がとりわけ高いひとり親世帯へのアプローチは優先すべき課題の一つだろう。

 教育に目を向ければ、給付型奨学金の創設や無料塾の拡大、学習が遅れがちな子どもへの支援などが、貧困の連鎖を断つ力となる。

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 子どもの貧困支援では、現場に近い民間の取り組みが進んでいる。

 沖縄市では食事とともに居場所を提供する「ももやま子ども食堂」がオープンし、「こどもフードバンク」が活動を続ける。那覇市にはひとり親家庭の子どもが1回500円で利用できる「ワンコイン勉強室」があり、沖縄弁護士会の弁護士らが中心になって呼び掛ける「子どもシェルター」も開所を控えている。

 子どもを貧困から守ろうと立ち上がった大人たちの実践を県も参考にし、連携を深めるべきだ。