沖縄の人々は20年間にわたり名護市・大浦湾の辺野古に計画されている海兵隊新基地に対し圧倒的な反対の姿勢を明らかにしてきた。我々が2014年1月に出した新基地建設反対声明以来、地元の反対は拡大し強化された。何千、何万の人々が集会に集まり、繰り返し沖縄や日本本土の関係省庁の庁舎前で抗議行動を行った。辺野古漁港での座り込みテントは12年目に入る。建設予定地に続くゲートでの座り込みはすでに400日以上続いており、1月以降は24時間態勢を取ってきた。抗議する人々は非暴力の市民的不服従運動を行ってきており、湾内ではシーカヤックを使い陸上では自らの体でトラックを阻止するなどして、建設のプロセスを物理的に妨げてきている。機動隊や海上保安庁の人員は抗議運動をする人を襲い、深刻な負傷をもたらした。県内の世論調査では80%が新基地に反対している。一方、日米政府は沖縄の人々の意思を妨害する決意について譲らない姿勢のままでいる。

名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ沿岸

 島で構成される県である沖縄は、国の0・6%の面積で1%の人口を抱えるが、日本にある米軍基地の74%をすでに負担している。この負担はすでに県外に比べ500倍近いものである。沖縄はこのことをあからさまな構造的差別と見ている。

 東京とワシントンの日米政府高官たちは、海兵隊普天間飛行場を宜野湾市から撤去し、辺野古に新基地を造ることが騒音被害や人口密集地での墜落の危険性を軽減すると主張している。しかし宜野湾市の人々を含む沖縄の人々は、これらの問題を沖縄の一つの地からもう一つの地に移動させることが「解決策」だとは考えていないことを明確に表明している。さらに、この航空基地を建設することは美しくも壊れやすい大浦湾の環境を破壊する。大浦湾は、日本で残存するもっとも健全なサンゴの海であり、保護対象となっている海洋ほ乳類ジュゴンや他の魚類や植物の棲息(せいそく)地でもある。

 2014年11月、沖縄の人々は基地建設阻止の立場をとる翁長雄志氏を大差で知事として選んだ。何年も新基地に反対すると約束してきた後、突然埋め立て申請を承認した現職の仲井真弘多知事を破っての当選であった。仲井真氏は東京からの重圧に屈服し、自らの選挙公約に直接違反し有権者を裏切った。

 繰り返し「あらゆる権限を駆使」して基地を阻止する意向を述べてきた翁長知事は、埋め立て承認取り消しを視野に、承認に法的瑕疵(かし)があるかないか、またあるとしたらどのような瑕疵なのか特定するために環境、法律の専門家のチーム「第三者委員会」を任命した。

 7月にこの委員会が出した報告書は、仲井真前知事による埋め立て承認は「環境保全及び災害防止に付き十分配慮」しておらず、「国土利用上適切且つ合理的」という基準に適合しないことにより、日本の公有水面埋立法に反すると結論づけた。これは常識とも合致している-深刻な環境破壊を起こさずにトラック350万台分もの土砂をサンゴの園に投げ込むことが可能であるといった主張が明らかにおかしいということを理解するのに専門知識は必要ない。翁長知事は今、日本政府に基地建設を進めることを許してきた埋め立て承認を取り消すための証拠を手にしている。

 日本政府は一カ月の建設工事中断を発表するという形で対応し、県との協議に入った。しかし沖縄の人々やその代表者たちにとってもう一つの平手打ちを食らわせるかの如く、政府は「協議」の結果にかかわらず基地建設のための作業をその後続けると断言している。

 翁長知事は自らの権限においてこれを阻止する鍵を握る。第三者委員会報告書の裏付けを得て、仲井真前知事の埋め立て承認を取り消す権限である。このような行動を取られることに対する日本政府の恐れが、工事中断と、大きな経済振興計画を約束し翁長知事に反対をやめさせることを狙った協議に入る動機づけとなったのであろう。しかしこのような買収の試みは沖縄の人々にとっての侮辱である。

 第三者委員会による検証は、仲井真知事による埋め立て承認は法的瑕疵がある-要するに違法であるとの結論を出した。これが意味することは、翁長知事はこれを取り消す法的義務があるということである。第三者委員会が結論を出した直後にこのような取り消しがあると期待されていたが、多くの沖縄の人にとって驚きであったのは、翁長知事は第三者委報告を受けてのいかなる判断も一カ月間先延ばしにしたことだ。

 翁長知事が埋め立て承認取り消しをしないようなことがあったら、それは違法なプロジェクトに加担するということになる。もちろん翁長知事はそれを分かっているはずであり、決定的な行動に出ないことが沖縄社会に爆発を引き起こすであろうことも分かっているはずだ。

 沖縄の人々は、知事が無条件で妥協や取引も全く伴わない埋め立て承認取り消しを行うことを求め、期待していることを明白にしている。

 我々は沖縄の人々のこの要望を支持する。

 世界は見ている。

■署名者

 マシュー・アレン ジェームズ・クック大学(オーストラリア)ケアンズ研究会外部教授▽ハーバート・ビックス ニューヨーク州立大ビンガムトン校歴史学・社会学名誉教授▽アダム・ブロイノウスキ オーストラリア国立大学日本歴史文化学研究員▽ダニエル・ブロウディ 沖縄キリスト教学院大学大学院 異文化間コミュニケーション学研究科教授▽アレクサンダー・ブラウン ウーロンゴン大学(オーストラリア)人文社会学部博士課程▽マイケル・K・ボーダッシュ シカゴ大学▽アキコ・ウトゥ・カカジ 「平和のための退役軍人会」ワシントンDC支部▽ジェニー・チャン オックスフォード大学学際地域研究学部、中国学と社会学講師▽ブルース・カミングス シカゴ大学歴史学部教授▽チェ・ソンヒ 韓国済州島カンジョン村国際チームコーディネーター▽ノーム・チョムスキー マサチューセッツ工科大学言語学名誉教授▽マーク・ドリスコル ノースキャロライナ大学チャペルヒル校東アジア学准教授▽アレクシス・ダデン コネチカット大学歴史学教授▽マーク・イーリー 翻訳家▽ジョン・フェッファー 「フォーリン・ポリシー・イン・フォーカス」ディレクター▽ノーマ・フィールド シカゴ大学名誉教授▽ジェームズ・フジイ カリフォルニア大学アーバイン校准教授▽タカシ・フジタニ トロント大学歴史学教授▽ブルース・K・ギャグノン 「宇宙における兵器と核に反対するグローバルネットワーク」コーディネーター▽ジョセフ・ガーソン(PhD) アジア太平洋平和と非軍事化ワーキンググループ▽シュブロート・ゴシュロイ マサチューセッツ工科大学研究員▽アンドリュー・ゴードン ハーバード大学歴史学教授▽メル・ガートフ ポートランド州立大学政治学名誉教授▽モートン・H・ハルペリン 元米国政府高官(国防総省、国務省、国家安全保障会議)▽ローラ・ハイン ノースウェスタン大学(シカゴ)教授▽エドワード・ハインリッヒ-サンチェス 「平和のための退役軍人会」琉球沖縄支部コーディネーター▽ジュリー・ヒガシ 立命館大学(京都)教授▽カツヤ・ヒラノ カリフォルニア大学ロスアンゼルス校歴史学准教授▽クリスティーン・ホング カリフォルニア大学サンタクルーズ校助教授▽グレン・D・フック シェフィールド大学教授▽アサト・イケダ フォーダム大学助教授▽レベッカ・ジェニソン 京都精華大学人文学部教員▽ポール・ジョバン パリ・ディデロ大学准教授▽デイビッド・T・ジョンソン ハワイ大学マノア校社会学教授▽ウィリアム・ジョンストン ウェズリアン大学(コネチカット州)歴史学教授▽エリン・ジョーンズ 研究者▽ジャン・ユンカーマン 映画監督、早稲田大学客員教授▽カイル・カジヒロ 「ハワイの平和と正義」理事▽ジェフ・キングストン テンプル大学日本校歴史学教授▽J・ビクター・コッシュマン コーネル大学教授▽ジェレミー・カズマロフ タルサ大学助教授▽ピーター・カズニック アメリカン大学歴史学教授▽ジョン・レットマン ジャーナリスト(ハワイ州リフエ)▽ダグラス・ラミス 沖縄キリスト教学院大学大学院客員教授▽キャサリン・ルッツ ブラウン大学教授▽ジャニス・マツムラ サイモンフレイザー大学(カナダ)准教授▽ガバン・マコーマック オーストラリア国立大学名誉教授▽ジョー(ヨシ)マッキンタイア、平和運動家、国際関係学研究者▽リチャード・H・ミネア マサチューセッツ大学アマースト校歴史学名誉教授▽ジョン・ミッチェル ジャーナリスト▽R・タガード・マーフィー 筑波大学東京キャンパス国際政治経済学教授▽キャサリン・ミュージック 海洋生物学者(ハワイ州カウアイ島)▽クリストファー・ネルソン ノースカロライナ大学チャペルヒル校准教授▽サトコ・オカ・ノリマツ 『アジア太平洋ジャーナル・ジャパンフォーカス』エディター▽エリン・オハラ・スラビック ノースキャロライナ大学チャペルヒル校教授▽ステファニー・オルトレバ 「ウィメン・エネイブルド・インターナショナル」代表、国際人権および女性の権利の弁護士▽エイコ・オタケ ウエスリアン大学レジデントアーチスト▽クーハン・パーク グローバライゼーションに関する国際フォーラム(サンフランシスコ)▽チャールズ・ペレグリーノ 深海探検家、宇宙生物学者、法考古学者▽ジョン・プライス ビクトリア大学(カナダ)歴史学教授▽スティーブ・ラブソン ブラウン大学名誉教授▽ジョーダン・サンド ジョージタウン大学日本史教授▽ピーター・デール・スコット カリフォルニア大学バークレー校英文学名誉教授▽マーク・セルダン コーネル大学東アジアプログラム上級研究員▽オリバー・ストーン 映画監督▽ミユメ・タンジ オーストラリア国立大学▽ジョン・ウィッティア・トリート イェール大学名誉教授▽ブライアン・ヴィクトリア 外国人来訪研究員、国際日本文化研究センター(京都)▽デイビッド・バイン、アメリカン大学人類学准教授▽バネッサ・B・ウォード オタゴ大学(ニュージーランド)歴史学・美術史学科東アジア史講師▽デイビッド・ウェブ、リーズ・ベケット大学(英国)名誉教授 「宇宙における兵器と核に反対するグローバルネットワーク」代表、「核軍縮キャンペーン」代表▽ピアス・R・ウィリアムソン、北海道大学メディア・コミュニケーション研究員特任准教授▽ジェームズ・ウィンター ウィンザー大学(カナダ、オンタリオ)コミュニケーション、メディア&映像学教授▽ケネス・H・ヤング、カナダ退役軍人会256支部(カナダBC州ナナイモ)サービス・オフィサー (署名者リストは、ファミリーネームのアルファベット順)