2017年(平成29年) 12月17日

社説

社説[宮里優作 初の賞金王]迷い克服し ついに頂点

 優勝が決まるパーパットを沈めると、その瞬間、緊張の糸がほどけ、涙があふれ出した。

宮里優作選手の賞金王を伝える沖縄タイムス号外

 「家族の前で勝てて良かった」

 優勝後に口にしたのは家族への感謝だった。

 男子プロゴルフの宮里優作選手(37)が今季最終戦の日本シリーズJTカップで優勝し、初の賞金王に輝いた。

 堂々たる勝利だった。1イーグル、6バーディー、ボギーなしの62で回り、通算15アンダーの265で2位に6打差をつけて逃げ切った。

 今季4勝目、獲得した賞金1億8283万1982円。年間最多勝での賞金王は、心技体兼ね備えた実力の証明であり、選手会長の賞金王は史上初の快挙だ。

 聖志選手を兄に、今季限りで引退した藍さんを妹に持つプロゴルファー3きょうだいの次男。

 アマチュア時代、圧倒的な強さを発揮し、「怪物」と言われながら、プロに入ってからは優勝に恵まれず、長いトンネルから抜け出すことができなかった。兄や妹に先を越され、それがあせりとなって本人を苦しめた。

 そして迎えた2013年12月8日、プロ入り11年目にして悲願の初優勝を決め、ようやく重圧から解放された。

 妹の藍さんは「今までがんばってきた分の、神様からのごほうび」だと語っていた。あれから4年。

 藍さんが惜しまれながら引退した年に、初優勝を決めた思い出のコースで、家族や両親が見守る中、ついに頂点に上り詰めたのである。

■    ■

 賞金王に輝いた優作選手は、インタビューにこう答えている。

 「4年たってちょっと成長したかなと思う」「自分はまだ伸びしろがたくさんあると思うので、毎年うまくなりたい」

 ゴルフはメンタルなスポーツだといわれるが、これまでは、いざというときに迷いが生じ、ミスを招いたりした。真面目な性格で、自分で自分を追い込んでいくようなところがあった。

 初優勝後、優作選手は変わった。とりわけ今季は、何かが吹っ切れたような、めざましい活躍ぶりだった。

 10月のホンマ・ツアーワールド・カップでは、初日から首位の座を一度も明け渡すことなく、しかも、72ホールボギーなしで完全優勝した。

 メンタル面の弱さを克服し、迷いを振り払うことで、パットも安定感が増し、「勝ち方」が身についた。

■    ■

 プロゴルファー3きょうだいを育てた父親の優さんは8月、全英女子オープンの会場で倒れ、周りを心配させたが、賞金王が決まったこの日は、18番グリーンの横で表彰式を見守った。

 優さんの存在なくして3きょうだいは生まれなかっただろう。マナー違反に厳しく、「学校一番、ゴルフ二番」と言って3人を育ててきたのは有名な話だ。

 選手会長を務めることで人としてもプレーヤーとしても大きく成長した優作選手が、活躍の場を世界に広げることを期待したい。

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