【八重山】石垣市と与那国町の教育委員会臨時会が24日開かれ、来年度に中学校で使用する公民教科書に育鵬社版を採択した。公開された市教委の審議では、教育委員5人全員が育鵬社を評価。住民らが「憲法や人権を軽視する」と指摘する個別記述には言及せず、約9分間、総論を述べ合い採決した。同教科書の採択は前回に続き2度目。

 教育委員らは育鵬社公民教科書を「知識だけでなく、生徒が課題を考えるように促している」「グローバル化への理解がある」「日本の未来を前向きに考えられる」など評価。

 住民団体が問題点として主張した「人権軽視」や「平和主義の否定」、「国家帰属の強調」など保守的記述には言及がなかった。

 先立って17日に開かれた八重山採択地区協議会での選定理由について「理想の国や社会は自然に生まれるものではなく、私たちが努力して実現させるという趣旨が示されている」とし、男女平等や家族の協力に「考える課題が設けられている」などとして評価されたことも公開された。

 採択後、同協議会会長を務めた市教委の石垣朝子教育長は住民団体の懸念について、「(住民が)否定する意見の議論ではなく、教科書そのものを議論した」と述べた。

 記者から、公正な採択のために課題点を議論すべきだったのでは、との質問には「委員は新聞や資料を読んで勉強していると思う。その上で考えをまとめ、意見を述べて選定した」と問題なしとの認識を示した。

 採択を傍聴した「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」の宮良純一郎事務局長は「具体的な理由を明かさず、なぜ育鵬社なのか誰も納得しない。結論ありきで、恣意(しい)的な採択だ」と厳しく批判した。