旧盆を控え、那覇市の公設市場が、お供えものや食材を求める客でにぎわっている。だが、「地元客が足を運ぶのは旧盆と正月ぐらい」と関係者からはため息も聞こえる。1990年代以降、観光客向けの土産物店にシフトする店が徐々に増え、現在では約130店舗のうち2~3割を占めているという。

65年前から公設市場で働く喜島ヨシさん(左端)。20年ほど前から、徐々に土産品を取り扱うようになり、今では土産品販売がメーンになっている=21日、那覇市・第一牧志公設市場

 65年前の公設市場開設時から店を構え、現在は3世代で切り盛りする喜島ヨシさん(84)は、ちんすこうやウコン茶など食料品を扱う。当初は重箱などに詰める「返しコンニャク」を作ってきた。旧盆や正月前の繁忙期には、約25本入った袋が100~200袋、飛ぶように売れたが、約20年前から地元客が次第に減少。活路を見いだそうと、沖縄の健康食品をそろえたところ、観光客が足を止めるようになり、徐々に土産品を増やしていった。喜島さんは「今は盆暮れといっても、コンニャクが売れるのはせいぜい20袋。常連さん以外はさっぱり」と寂しそう。

 第一牧志公設市場組合の粟国智光組合長は、大型商業施設の台頭や核家族化など社会状況の変化を挙げ「昔のように、家族総出でお供え物を手作りすることが減ってきている」と指摘。一方で「なじみの店に、お嫁さんや孫を連れてくる年配の方も多く、店側も郷土食の文化を伝えていく役割がある」と課題を話す。

 学生時代に研究調査を兼ね、公設市場の精肉店に滞在したことがある静岡大の小松かおり教授は「地元客とお店のやりとりが市場の魅力であり、観光資源でもある。建て替え問題にも関わるが、市場の将来像をどうすべきか、皆で考える時期にきている」と話した。(渡慶次佐和)