「出産に不安を抱えていては、若い世代は安心して暮らせない」「北部のために頑張って」。県立北部病院の産婦人科に赴任してきた医師を激励する会で、地域の女性たちが語った切実な言葉が記憶に残る

▼名護市の北部支社で取材したのは十年近く前のことだが、産婦人科医だけでなく現在は外科や内科医も不足し、一部診療制限など深刻さはさらに増している。一人で日勤も当直もこなし、疲弊して辞めていく医師も少なくないという

▼翁長雄志知事が開会中の県議会で北部病院と北部地区医師会病院を統合し、新たに基幹病院を整備する方針を表明した。統合は、3月に開かれた北部12市町村住民の総決起大会と11万筆を超える署名提出を受けて検討していた

▼「ぬーが、やんばるだけがいつも医師不足になるのか」。これまで県の医師確保が宮古、八重山優先だったとして高良文雄本部町長が、要請の場で浦崎唯昭副知事にかみついたことも

▼地元では歓迎の声が広がる一方で、新病院の経営形態や医師会病院が抱える負債、職員の身分の取り扱いなど整理すべき課題も多い

▼医療の充実は定住の最重要条件だ。中南部の病院への搬送や通院は住民に大きな負担となっている。関係者が汗をかき、自らが住む地域で十分な医療が受けられる体制を、一日も早く実現してほしい。(知念清張)