大阪府寝屋川市の中学1年の男女が殺害され遺体で見つかった事件で、女子生徒に対する死体遺棄の疑いで契約社員の男(45)が逮捕され、衝撃を与えている。

 男は逮捕当初、「女の子に声を掛け、車内に連れ込んだ。同乗者が後部座席で殴り、知らない間に死んでいた」などとほのめかし死体遺棄容疑を否認していたが、その後、黙秘に転じている。

 女子生徒は13日、男子生徒は21日、別々の場所で遺体で発見された。顔を粘着テープで巻かれ、両手を後ろ手に縛られていたとみられている。

 女子生徒の遺体には全身に30カ所以上の切り傷がある。残忍極まりない事件である。動機は何なのか。軽ワゴン車にどのようにして連れ込んだのか。2人が発見されるまでの経緯は。分からないことが多い。警察には全容解明を急いでもらいたい。

 これまでの調べで、男子生徒が女子生徒と遊びに行くと自宅を出たのは12日午後9時ごろ。2人は翌13日午前5時すぎまで、自宅近くの駅前商店街にいるところを防犯カメラで確認されている。

 別のカメラには男のものとみられる軽ワゴン車が映っており、その時間帯に連れ去られたのではないかとみられている。このほかにも、男の行動と軽ワゴン車が防犯カメラに捉えられていた。

 街中に張り巡らされた防犯カメラには犯罪の抑止とプライバシー侵害などの観点から賛否の声が上がるが、今回は逮捕の決め手になった。防犯カメラは監視することはできても、事件を未然に防止することはできないことを忘れてはならない。

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 事件の未然防止には「地域の目」を強めなければならない。都市化が進む地域社会では、人間関係が希薄になりがちだ。家族のあり方も多様化し、抱える事情もそれぞれ異なる。他人のことには関わらない風潮が出てくるのは全国どこでも同じだろう。

 防犯カメラと捜索願に映った写真をみると、あどけなさが残る2人の中学生である。

 夜間から明け方にかけて街中を歩いている男女の中学生を見て、なぜ、大人が一言注意したり、声を掛けたりして帰宅させることができなかったのか。残念でならない。

 大人が子どもにどう向き合い、事件・事故に巻き込まれるのを防ぐのか。地域、学校、警察の連携が求められる。

 地域ぐるみで、深夜徘徊(はいかい)をさせないことや、何が危険なのかを具体的に教えるような取り組みが必要だ。

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 寝屋川市の中学校では24日から新学期が始まった。在校生の心の傷も心配だ。「気持ちの整理がつかない」「一人で外出するのが怖い」などと動揺する生徒がいるからだ。

 長崎県佐世保市で昨年7月、高校1年の女子生徒が同級生に殺害された事件では、在校生が体調不良を訴え、教室に入ることができない生徒が相次いだ。

 同中は個人面談で、気になる生徒にはスクールカウンセラーや臨床心理士の診断を受けさせることにしている。凄惨(せいさん)な事件である。在校生の心のケアにも努めてほしい。