沖縄本島内で分蜜糖を作る球陽製糖(うるま市)と翔南製糖(豊見城市)が9月1日付で合併し、「ゆがふ製糖」として新たなスタートを切る。県の基幹作物であるサトウキビの減産傾向に歯止めがかからない中、経営の安定を図るのが目的だ。

 新会社の本社と工場は球陽製糖に置き、本島内の製糖は1工場体制となる。

 なぜ合併する必要があったのか。背景には、サトウキビ生産の減少に伴い、両工場とも処理量が採算ラインを割り込んでいる、という厳しい実態がある。

 コストを抑えるため、両工場は年間100日程度が適正とされている稼働日数を、5年前から平均約70日に短縮していた。農家も、その期間に合わせて収穫することが求められ、日程的に厳しい状況となっていたという。

 今回、工場の集約化によって稼働日数が延び、経営の安定化が図られるとともに、農家もある程度ゆとりをもって収穫できるようになる、と会社側は合併のメリットを説明する。

 「厳しい生産状況を踏まえ、両社の体力があるうちに合併しようということで協議し、決定した」(球陽製糖)という側面もある。

 企業の持続的発展のため経営の安定化は確かに必要だが、合併だけでは糖業の長期的な衰退は避けられない。製糖工場とサトウキビ生産は車の両輪だ。増産へ向けた取り組みの強化がこれまで以上に求められる。

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 県内のサトウキビ生産量は1989~90年産の177万9300トンをピークに減少を続け、2011~12年産は54万トンと最低を記録した。13~14年産は68万トンまで回復したものの、県が目標に掲げる80万トンには及ばない。

 農家の高齢化が進むほか、野菜や果実、畜産など収益性の高い農畜産物への転換が担い手不足に拍車をかける。

 その中で、今回の合併にサトウキビ農家の受け止め方はさまざまだ。「製糖工場の安定経営のためにやむを得ない」との声が大勢を占める一方、本島全域からサトウキビを集荷することなどへの不安も聞こえてくる。

 特に小規模農家では、週末を利用して家族総出でキビ刈りをするケースが多い。収穫してから搬入日まで畑に置いているうちに糖度が低下するなど劣化が進み、手取り額の減少が懸念されるからだ。

 合併が、農家の不安を高め生産意欲の衰退につながるようなことがあっては本末転倒だ。1工場体制への移行に際し、農家の声をしっかりと受け止めてほしい。

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 合併調印時に発表された新会社のロゴマークは、太陽の光を浴びたサトウキビが芽を出してすくすくと育つ様子をデザインし、「ゆがふ」の頭文字「ゆ」の形を模した。新たな船出への期待が込められているが、合併を繰り返すことで難局をしのいできた沖縄の糖業は、正念場を迎えた。

 サトウキビ再興に向け、関係機関が連携し、増産基金の活用、農地の利用集積の促進などを着実に進めてもらいたい。