参院で審議中の安全保障関連法案に反対する市民団体はきょう30日、国会周辺で大規模な集会を開くのをはじめ、沖縄など全国各地で一斉に抗議行動を展開する。これまでにない規模の取り組みになりそうだ。

 安保法案をめぐる反対運動に火を付けたのは、全国の大多数の憲法学者や元内閣法制局長官、元最高裁判事、弁護士ら法曹関係者と、さまざまな分野の研究者だった。

 普段、政治的発言を控えてきたこの道のプロまで、口をそろえて、「違憲立法」だと批判し始めた。立憲主義や平和国家の理念が音を立てて崩れていくことに対する専門家の危機感がいかに深いかを物語っている。

 この動きに呼応して独自の取り組みを始めたのが、大学生などの若者や、子どもを持つ母親たちである。

 国会前でラップ調のかけ声に合わせて抗議行動を続ける若者グループ「SEALDs(シールズ)」の取り組みは、またたく間に全国に広がり、県内でも「SEALDs RYUKYU(シールズ琉球)」が結成された。

 政治に興味がなかったり、政治的な行動から距離を置いていた学生や若い母親が、「人ごとではない」と、法案に危機感を持つようになり、街頭で「勝手に決めるな」と訴え始めたのである。

 安保法案に対する反対運動は「民主主義の地殻変動」ともいうべき、新たな質を備えた運動に発展しつつある。

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 地殻変動は、女性週刊誌の特集にも現れている。芸能ニュースや生活関連の話題が多い女性週刊誌が、硬派ネタの代表格ともいえる安保法案を積極的に特集し始めたのだ。

 安保法案だけでなく、憲法や戦後70年特集に対する読者の関心も高いという。福島原発事故の経験が、若い母親の意識を変えた、という指摘もある。

 声を上げ始めた母親たちの主張に共通するのは「戦争への不安」である。

 「国民の理解が深まっていない」と安倍晋三首相は国会で指摘したが、その見方はあまりにも皮相だ。審議を重ねれば重ねるほど、次々に問題点が明らかになり、欠陥法案に対する「国民の理解が深まった」が故に、反対運動が急速に広がった、とみるべきだろう。

 「勝手に決めるな」という若者たちの声は民主主義の質を問う核心的な主張であり、名護市辺野古への新基地建設問題にも通じる問いかけだ。

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 憲法の専門家から一般国民まで、これだけ広範な人々が法案成立に強く反対しているのは、政府の説明が説明になっていないからである。

 自民党議員による相次ぐ暴言、失言、放言といい、安倍首相自身の発言といい、政権のおごりが目立つ。

 「嫌な感じ」という言葉が普通の会話の中で飛び交うようになったのは、国民の不安の表れである。

 そのただ中から「新しい民主主義」を模索する動きが生まれている。