災害弱者といわれる高齢者や障がい者ら「要支援者」の避難の在り方を定める「個別計画」の策定が遅れている。

 県内は41市町村のうち、策定済みは西原、大宜味、渡嘉敷の3町村。全国で2番目に低い策定率だ。

 要支援者名簿は2014年に施行された改正災害対策基本法で、市町村に作成が義務付けられた。36市町村が作成している。

 名簿を踏まえた個別計画は要支援者一人一人を誰がどこへ、どのように、避難させるか、具体策を自治体に求めるものである。

 要支援者が18人の渡嘉敷村は、職員らが全世帯に直接聞き取り調査をした。

 規模の小さい自治体は職員の聞き取りでカバーできるかもしれないが、那覇市は県内最大の約4万5700人の要支援者を抱える。聞き取り調査をするだけでも人手と時間がかかるだろう。

 さらに島しょ県で人口減と高齢化が進む特有の問題もある。竹富町の要支援者は25・6%で、4人に1人の計算だ。要支援者には、できる限り複数の担当者を充てたり、役割分担をしたりする配慮が必要である。どう支援者を確保するか難題だ。

 東日本大震災では障がい者の死亡率が住民全体の死亡率の約2倍に上り、犠牲者の半分以上を高齢者が占め、災害弱者の対策が問題になった。

 個別計画の策定は義務ではないが、自力避難が難しい災害弱者にとっては命を守る重要な計画だ。

 先進県のノウハウを取り入れたりするなど困難ではあっても官民で知恵を出し合い、策定を急いでもらいたい。

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 未策定の理由に個人情報の問題を挙げる自治体もある。

 策定した渡嘉敷村は服用する薬の種類など個人のプライバシーにまで踏み込むため、個別計画は申請したい人に限った。

 ただこの方法では支援が必要な人を見逃す可能性があるのではないか。

 総務省消防庁は、本人の同意なしに情報提供できるようにする条例の制定を呼び掛けている。

 「明らかに本人の利益になるとき」などと情報の使い道を厳しく限定すれば問題は少なくなるに違いない。

 沖縄は台風の襲来など自然災害が多い。高齢者や障がい者らを災害からどう守っていくか。

 事は生死に関わる問題だけに、自治体には踏み込んだ対応を求めたい。

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 沖縄市東部の海浜に近い自治会が実施した今年1月の避難訓練。車いすを使う訓練も組み込まれていたが、当事者が姿を見せなかったことに市社会福祉協議会の担当者は不安を覚えた。必要な人に情報は届いているか。訓練に二の足を踏むのはなぜか。一方で、自治会もどこまで個人のプライバシーに踏み込んで声掛けをしていいのか。それぞれに戸惑いがあった。

 市社協は今後、災害弱者の情報共有、避難経路の確認など自治会ごとに訓練を実施し課題を洗い出していく考えだ。避難訓練を個別計画につなげていくことも重要だ。