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  • 宮古で相次ぐ観光客の水難事故。死亡事故の共通点は「台風後」
  • 昨年、ビーチに注意促す看板や救助用の浮輪を設置するも事故防げず
  • 8月、事故防止推進協がパトロールを実施。地域ぐるみの対策が急務

 相次ぐ観光客の水難死亡事故を受けて、宮古島市や警察、海保、観光関係でつくる市水難事故防止推進協議会(会長・下地敏彦市長)が台風前後の一斉パトロールなど具体的な取り組みに乗り出した。伊良部大橋の開通などで全国的な注目も高まり観光客数が増える中、水難事故をどう防いでいくか。住民を巻き込んだ体制づくりが急務だ。(宮古支局・新垣亮)

水難事故のあった宮古島市・伊良部島の「渡口の浜」=2015年8月

▽官民協働の基準作りも

 市では昨年から遊泳中の観光客が溺れて死亡するケースが続いている。昨年、市の砂山ビーチで7月と8月に遊泳中の観光客合わせて4人が亡くなった。今年は先月10日、伊良部島の渡口の浜で家族4人が沖に流され、3人が亡くなるという痛ましい事故があった。昨年7月と先月10日の事故の共通点は、「台風後」ということだった。

 先月の渡口の浜の事故を受け、協議会は8月13日の緊急理事会で関係機関がそれぞれの担当地域を受け持ち台風前後に海浜パトロールするほか、観光関係者まで情報を共有する連絡網整備などを進めることを決めた。

 同協議会では昨年の砂山ビーチでの事故以降、主要なビーチや海岸に注意を呼び掛ける看板や救助用の浮輪を設置した。しかし、今シーズンも死亡事故を防ぐことはできなかった。協議会の事務局を務める市の担当者は「水難事故が頻発すれば、宮古の観光にもマイナスイメージを持たれかねない」と懸念を示す。

 渡口の浜での事故以降、協議会は早速行動に出た。台風15号が接近した先月21日には事故のあった伊良部島の渡口の浜や、近くの中の島海岸でパトロールする宮古島署の署員や市職員の姿があった。台風が去った25日にも協議会は注意を呼び掛けた。

▽住民の意識啓発

 同協議会の理事で、宮古島マリンリゾート協同組合の新村一広代表理事は、台風前後のパトロール実施を一定評価しながらも、一過性ではない「官民協働」の持続的な取り組みの必要性を訴える。遊泳を禁止させる法令などがないため、「住民が注意して聞かなければ警察など関係機関が出てくるといった仕組みづくりが必要」と語る。新村代表理事は、行政側が地域住民にボランティアとして活動してもらうといった方法を挙げ、「地元住民の意識を高めることも必要だ」と話す。

 また、行政は海の安全に詳しい民間と共に「基準づくり」もするべきとも考える。「観光客はさらに増える。今こそ体制を全体で考える時に来ている」と語った。

 同市の平良哲則生活環境部長は「協議会で実効性ある行動をすることが大切。改善点もあればきちんと取り組んでいく」とする。不幸な事故を再び起こさないためにも協議会の「本気度」が今、問われている。