自動車免許を取得してから50年以上、事故や交通違反とはついに無縁だった照屋全行さん(95)=沖縄県今帰仁村渡喜仁=がこのほど、免許証を返納した。「まだまだ運転できる自信はあった」と話すが、万一の事故を心配した家族から返納を促された。“あおり運転”など車社会のストレスが全国的な問題となっている今、安全運転の秘けつは「時間に余裕を持つこと」。交通安全の鉄則を身をもって示す。(北部報道部・城間陽介)

愛車に別れを告げた照屋全行さん=11月30日、今帰仁村渡喜仁

 免許を取ったのは東京五輪が開催された1964年。当時集落で自家用車を持っているのは3人ほどで、「軽トラックにスイカを満載し、那覇の農連市場に1日がかりで売りに行ったよ」と振り返る。舗装されていないでこぼこ道をスイカが荷台から落ちないよう、ゆっくりと片道5時間かけて運転した。

 どんな時でも法定速度、標識を守ってきた。その心の余裕は正確な時間管理から生まれたという。到着時刻から逆算し、早めに家を出る。

 長男の全哲さん(67)は「とにかくきちょうめんな人ですね」と笑う。法定速度を守って走行すると後続が詰まることもあるが、そんな時は路肩に寄って道を譲ってきた。

 最近、割り込みされたことなどに腹を立て、その車に対して幅寄せや異常接近して追い掛け回す“あおり運転”が社会問題となっている。照屋さんは「時間に余裕がないから急ごうとしてストレスになる。交通安全は、一にも二にもお互い譲り合いからですよ」とドライバーたちに呼び掛ける。