防衛省制服組トップの河野克俊統合幕僚長が、昨年12月の訪米時に米軍幹部ら7人と会談した内容を示す資料が明らかになった。

 オディエルノ米陸軍参謀総長との会談で河野統幕長は「(安保法案審議は)与党の勝利により来年夏までには終了するものと考えている」と言及している。

 安倍晋三首相が国民より先に米議会で「夏まで」の成立を約束した異例の発言の4カ月前であり、そもそも法案の与党協議前でもある。

 政権の意向をくんだなら国会での法案審議を無意味化するものであり、河野統幕長自身の見解なら文民統制をはるかに超えた暴走行為だ。

 資料は、2日の参院特別委員会で仁比聡平氏(共産)が問いただした。

 それによると河野統幕長は米軍トップとの会談で、安保政策に関わる政治状況はじめ防衛省予算の増額や、自衛隊の海外派遣拡大、オスプレイの整備拠点の国内誘致など新たな「軍事政策」について繰り返し言及している。

 集団的自衛権の行使容認を歓迎する言質も散見され、法案成立へ自衛隊の前のめり姿勢をうかがわせる内容だ。

 中谷元・防衛相は資料について明確な答弁を避けたが、政権の国会軽視を否定し、文民統制が機能していることを証明したいのなら、国会で河野統幕長を証人喚問すべきだろう。

 ダンフォード海兵隊司令官らとの会談では、沖縄の基地問題について政治家さながらの発言が相次いだ。

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 「キャンプ・ハンセン、キャンプ・シュワブでの共同使用が実現すれば、米海兵隊と陸上自衛隊との協力が一層深化すると認識している。これにより沖縄の住民感情も好転するのではないか」(河野統幕長)「オスプレイに関しての不安全性をあおるのは一部の活動家だけだ」(同)

 「辺野古NO」を公約とした翁長雄志知事が誕生した直後にもかかわらず、発言はどれも政権の立場を強調するもので、沖縄の民意は一顧だにされていない。

 本来、文民統制にある自衛隊は政治的中立でなければならない。なのに資料は、自衛隊トップが沖縄に関して米側へ誤った情報を伝えていることを示しており、憤りを禁じ得ない。

 それどころか昨年12月の県知事選について「県知事選時にはリバティーポリシー(行動規範)の実施、地域情勢に配慮して頂き感謝する」とする発言は、選挙へのあからさまな政治介入だ。

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 特別委では、山本太郎氏(生活の党)の質疑で集団的自衛権の行使容認はじめ原発再稼働、TPP交渉参加、特定秘密保護法の制定、防衛装備移転三原則など安倍政権が次々実行した政策が、元米国務副長官アーミテージ氏らの過去の提言と一致することが明らかになった。

 今資料でも内政干渉に値する米側のリードは明らかだ。複数の米軍幹部が、さらなる自衛隊派遣の拡大を提案しており、資料は、この国の安保政策の真の立役者を暗示してもいる。