平均寿命80歳という生涯をより健康に送るため、厚生労働省では「80歳で20本の歯を残そう」という「8020(ハチ マルニイマル)運動」を行っています。

 子供の頃、食事はよくかんで食べましょう、一口30回かみましょう、などと言われたと思いますが現代の日本人は1回の食事でかむ回数は約600回程度といわれています。現代は歯ごたえのない柔らかい食べ物が多くなってきているために「かむ回数が少なくても済んでしまう」のでしょう。

 食べ物は口から入って食道、胃、十二指腸、小腸、大腸を通り肛門から便として排せつされます。

 歯の無い動物である鳥類は食べ物を飲み込み、砂のう(砂肝)で食べた物をすりつぶして消化吸収の手助けをします。人間には歯がありますから歯でしっかりとかむことが胃に負担をかけない食べ方なのです。

 歯で食べ物をかみ砕くことが消化の第一歩であり、かめばかむほどその後の消化を助けることになります。また、かむことで脳に刺激を与え、集中力を高め、虫歯や歯周病を予防するといわれています。

 胃カメラ検査では検査の前日の夕飯を早めに済ませていただきます。おおむね12時間以上食事をしない状態で検査をすることになりますが、それでも胃の中に食べた物が残っている事があります。

 前日に食べたものを聞いてみると色や形などから野菜やお米、麺などだと分かります。肉や魚、卵などタンパク質が胃の中に残っていることはほとんどありません。

 一般的に消化がいいと思われている「おかゆ」や「麺類」なども胃の中に残っていることが珍しくありません。おそらく「おかゆ」や「麺類」などは食べやすいためほとんどかまずに飲み込んでいるのだと思います。

 胃は塩酸と消化酵素(ペプシノーゲン)を分泌してタンパク質を消化する働きがありますが炭水化物を消化する働きはありません。

 炭水化物の食べすぎが胃に負担をかけることになっているのです。胃に不調を感じる方は炭水化物を減らして、よくかんで食べることを意識したほうがいいでしょう(良くかむことで満腹中枢を刺激して過食を防ぐことにもなります)。

 また、逆流性食道炎や胃・十二指腸潰瘍などで胃酸を抑える薬を飲んでいる方は胃酸が出にくくなっているため胃の消化能力も低下しています。

 胃を働かせすぎないためにもよくかんで食べるように心掛けてください。症状がなくても年に1度は検診や人間ドックなどで胃の検査を受けることをお勧めします。(町田宏 まちだクリニック)