時代に逆行するかのような映像を見せ付けられた。

 中国共産党と軍は、中国が抗日戦争勝利記念日と定める3日、「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」の記念行事を開き、大規模な軍事パレードを実施した。

 建国60年の2009年以来のパレードで、抗日戦争勝利をテーマにするのは初めて。その戦争の勝利に貢献したとし共産党政権の正統性をアピールするとともに、軍事力を誇示する狙いが見て取れる。

 記念行事にはロシアのプーチン大統領や韓国の朴槿恵(パククネ)大統領らが出席。一方、中国の軍備拡張路線に反発するオバマ米大統領や安倍晋三首相らは出席を見送った。

 パレードでは、米国を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)や「空母キラー」と呼ばれる対艦弾道ミサイルなどが初披露され、500余りの装備と200近い軍用機が次々と登場した。

 華々しさが逆に不安感を増大させたのは、周辺国を威嚇しているように見えたからである。国民生活や経済活動を大幅に規制してまで力を誇示するやり方にも危うさが付きまとう。

 その懸念を払拭(ふっしょく)したかったのだろうか。習近平国家主席は「中国は永遠に覇を唱えず、拡張も行わない」とし、中国軍230万人のうち30万人を削減すると発表した。しかしそれでも軍事大国であることに変わりはない。

 東シナ海や南シナ海での強硬な動きを前に、習氏の言葉は説得力に欠ける。大国が国際社会で果たすべき役割は、国際的なルールに基づいた秩序づくりである。

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 習氏は軍事パレードの後、人民大会堂で開かれたレセプションで、「侵略戦争以後に生まれた人であっても、正しい歴史観を持ち、歴史の教訓を心に刻まなければならない」と語った。

 「戦争に関わりのない世代に、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」とした安倍首相の戦後70年談話を暗に批判するものと受け取れ、日本政府は「残念だ」と不快感を示した。

 「抗日」を国民の求心力維持のカードとする中国側にも問題はある。だからといって「嫌中」感情を高めても、何も生まれない。

 日中関係は当分の間「不安定な『競存』の時代」が続くだろう。そういう時代に必要なのは、互いに軍事力を強化し緊張を高めるのではなく、関係改善の努力を一つ一つ地道に積み重ねていくことだ。

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 式典に参加した韓国の朴大統領が働き掛け、習氏との間で10月にも日中韓3カ国首脳会談の開催が合意されたことは、大きな前進だ。

 尖閣諸島をめぐる日中の対立などで12年5月を最後に開かれていない会談である。実現すれば、安倍氏と朴氏による初の日韓首脳会談にも道筋がつく。

 北東アジアの平和や繁栄のための重要な枠組みである。日本にとっては歴史認識や領土問題で対立する両国との関係改善を図るきっかけともなる。

 前向きで積極的な対応を求めたい。