全国の夜間保育園の姿を追ったドキュメンタリー映画「夜間もやってる保育園」が現在、那覇市の桜坂劇場で上映中だ。認可の夜間保育園は全国に約80カ所。働く女性やひとり親世帯の増加を背景にニーズが増えているが、現状はあまり知られていない。映画には那覇市にある玉の子夜間保育園も登場する。来県した大宮浩一監督に映画を通して感じたことを聞いた。上映は来年1月5日まで。(聞き手=学芸部・高崎園子)

映画「夜間もやってる保育園」の一場面。園で過ごす子どもら((c)夜間もやってる製作委員会)

おおみや・こういち 1958年生まれ。介護の現場に密着したドキュメンタリー映画「ただいま それぞれの居場所」で2010年度文化庁映画賞受賞

映画「夜間もやってる保育園」の一場面。園で過ごす子どもら((c)夜間もやってる製作委員会) おおみや・こういち 1958年生まれ。介護の現場に密着したドキュメンタリー映画「ただいま それぞれの居場所」で2010年度文化庁映画賞受賞

 −映画を撮ったきっかけは。

 「映画にメインで登場する東京・新宿の『エイビイシイ保育園』の園長から手紙をもらった。夜間保育園のことがあまり知られていない。知っている人の中にも、預けるのは水商売の人ばかりだろうとか、子どもを夜まで預けるのは育児放棄だといったような誤解や偏見がある。ありのままの姿を映画を通して記録してもらいたいというオファーだった」

 −県内には夜間の認可保育園が3カ所。全国でも約80カ所。ニーズに比べて数が少ないと感じる。

 「女性が働くことや、働き方、社会への参加の仕方などが急激に変化した。認可の夜間保育園が単純に数が増えればそれでいいかというとそれはクエスチョンだ。それなりに認可保育園は増えているが待機児童の数は減らない、ということは、造ればすべて解決するのではない。保育だけで解決できる問題でなく社会全体の問題だと思う。それぞれの地域がどんな社会を目指していくのかが先にあって初めて、保育や介護などをグランドデザインできる」

 −裏テーマは「働き方」だと思った。登場する親たちはみんな忙しく働き、仕事と育児の両立に苦労している。

 「(死亡事故が相次いだ)ベビーホテルが問題になった1980年代はコンビニができた時代。夜の便利さ、夜の社会ということを私たちが求めた。劣悪な環境でも預ける需要があって、飽和点であの事件が起きた。今回、夜間保育園を舞台にしたが、結局見えてくるのは大人の社会。子どもたちが選んだのではなく、行政も含め私たち大人がつくった社会の中で、夜の保育が必要な子どもたちに大人が接して、(夜間保育園という)システムやセーフティーネットを作っていこうとしている」

 「保育園というのは英国の産業革命で女性の労働力が必要になって始まった。英国で研修経験のある国家公務員の方の話に出てくるが、英国は今、店が早く閉まるなど、夜は皆で休もうという社会を選んでいる」

 −沖縄の撮影で感じたことは。

 「直接映画には関係ないが、例えば東京や大阪で結婚してシングルになって故郷に帰ってくる人が多い。賃金などを考えるとそのままそこで生活したほうがいいのだろうが、故郷に帰ってくる。それは、『結(ゆい)』的な、子どもを育てやすい空気感が土地にあるからだろう」