名護市辺野古への新基地建設をめぐる県と政府の5回目の集中協議が7日、首相官邸で開かれる。8月12日に始まった協議の最終回だ。これまで4回の協議を振り返ってみれば、政府が辺野古新基地建設の見直しをこれっぽっちも考えていないことがわかる。

 それを露骨に示したのが菅義偉官房長官の発言である。4回目の協議で来県した際、協議期間の1カ月となる9日を過ぎれば、「予定通り工事を再開する」とはっきり言っている。

 協議をしている最中に工事再開を口にする。いったい何のための協議なのだろうか。

 「辺野古が唯一」と主張する政府のかたくなな姿勢を協議で批判する翁長雄志知事に、菅氏らは答えることなく「聞き置く」対応に終始した。県外移設を模索した形跡もなく、その説明もない。

 米軍普天間飛行場の5年以内の停止についても「地元の協力がないと厳しい」と辺野古への新基地建設が前提との考えを示した。政府に歩み寄る考えがないのであれば、協議の意味はない。

 集中協議は政府側から県に提案され、8月4日に菅氏が発表した。期間中は、政府が新基地建設関連の一切の作業を停止する一方で、翁長知事も前知事による辺野古埋め立て承認を取り消すかどうかの判断を留保する取り決めだ。

 安倍内閣はこの時期、衆院において安全保障関連法案を強行採決して支持率が急落していた。協議を提案した政府の狙いは明らかであろう。

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 安倍内閣が最優先する安保法案に取り組むため辺野古新基地建設問題を一時的に棚上げし、協議で沖縄の声に耳を傾けていることをアピールして国内世論に好影響を与えようとする意図がこの間の協議でますます強まった。

 最終回の協議に初めて安倍晋三首相が出席するのも、その狙いがあろう。

 翁長知事は21日を軸にスイス・ジュネーブの国連人権理事会で、沖縄が過重な基地負担を担わされ、自己決定権がないがしろにされてきたと演説する見通しだ。米カリフォルニア州バークレー市議会は今月中旬に開かれる本会議で、新基地建設計画に反対する議案「沖縄の人々を支援する決議」を可決するという。政府が沖縄に真摯(しんし)に向き合うことをしない現状では、国際社会へ訴えることが重要だ。

 世界の著名な文化人や識者ら100人以上が翁長知事に、前知事によってなされた埋め立て承認の取り消しを促している。沖縄が置かれた理不尽な状況が少しずつではあるが、国際社会から理解されつつあるのは新しい動きだ。

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 米軍キャンプ・シュワブ前で5日開かれた県民集会には3800人(主催者発表)が集結した。政府の工事再開が現実味を帯びる中で危機感を募らせた人たちが「勝手に決めるな」「翁長知事がんばれ」など次々と声を上げた。

 協議は議論がかみ合わないまま1カ月がたとうとしている。政府が工事を再開する前に、県は第三者委員会の「瑕疵(かし)あり」の結論に基づき、埋め立て承認の取り消しに踏み切るべきだ。