7日に開かれた沖縄県と政府との5回目の集中協議後、翁長雄志知事と記者団とのやりとりは次の通り。

翁長雄志知事

【冒頭 翁長雄志知事】

 1カ月間中断して、今日で5回目の集中協議というようなことで、これが最後になろうかと思うが、最初に総理の方から、今日まで努力してきたKC130(空中給油機の岩国基地への移駐)とか、西普天間の50ヘクタールの返還とか、こういった努力の話をされていました。

 それが終わった後、私の方から、5回やりましたのでそれぞれの総括だということで、お一人お一人との今日までのやりとりのことを振り返りながら、ほぼ1分か2分くらいずつで話をさせてもらいました。

■沖縄に海兵隊を置く理由

 中谷元・防衛大臣から、海兵隊の抑止力、抑止力というのは海兵隊の機動力、即応性、一体性、これがあって初めて機能するので、沖縄に置くべきなんだという話がありましたから、私は前にも申し上げましたけれども一体性と機動性と即応性は岩国だったり佐世保だったりハワイだったりグアムだったりで分散されていて、それは意味がございませんよ、と。

 それからもう一つは、いまミサイルが発達していますので、沖縄は近すぎて危ないんだと私が言った時に、ミサイルにはミサイルで対抗するとおっしゃった時には、私は心臓が凍る思いがしました、と。沖縄を領土としてしか考えてないんじゃないか。140万の県民が住んでいるということに、ご理解がなかったのではないかと。このようなすれ違いがありましたということを申し上げました。

■沖縄振興予算の誤解

 それから、山口俊一沖縄担当大臣には、大変沖縄担当ということでお世話になった。沖縄開発庁時代からのことですし、職員も沖縄のためにということで頑張っているので、大変これには感謝申し上げます、と。

 ただ、一つだけ全国民がご理解が頂いていないのが、沖縄振興予算3000億円と毎回大きな見出しで出るんですが、これは本土の方々、あるいは国会議員も含めて、みんな各47都道府県行き届いた後に沖縄だけが3000億円特別にもらっていると誤解をしているもんですから、沖縄はサンフランシスコ講和条約で日本から切り離されて、国会議員も一人も出したことないもんですから、予算の獲得の仕方が分からないので結局は間に開発庁が入り、内閣府が入ってですね、他の都道府県は部長が各部が各省庁と予算の取りをやって、何千億円というお金を取るんですが、沖縄の場合には間に内閣府が入り、私たちの要望を聞いて取ってくれるということなんですね。

 ですから地方交付税は16位ですし、国庫支出金と合わせて6位であるというような話をさせてもらいましたので、この辺は誤解がないように振興予算を獲得する時に、国民に説明頂きたいという話をさせていただきました。

■たらい回し

 岸田文雄外務大臣には、マケインさんとかリードさんとか、アメリカのワシントンDCに行っていろいろ話をしようとする時に、全員が紙を読み上げるんですね。全員が紙を読み上げて同じセリフを言ってからの会話でありましたので、これは佐々江日本大使も向こうで話をしましたら、同じ返事だったでしょう、という話がありましたので、同じ文書を回したんじゃないですか、と。

 ケネディ大使も同じようなことをここに帰ってきてお会いしたらやっていましたので、これは外務省としてはどうでしょうかね、という話もさせていただきました。

 それから、総理には日本を取り戻すというようなことがありますが、私たちは今日までアメリカに何回となく、私以外の者も含めたら、何百回もホワイトハウスだったりペンタゴンだったり、知識人だったり上院議員、下院議員だったり沖縄の問題訴えてきました。何も私が初めて行ったわけではありません。

 その時に、向こうはよく耳を貸してくれるんですけれども、最後に言うのは、これは日本国の国内問題だから日本政府に言いなさいというのが、最後に必ずきます。

 それを持って日本に帰ってきて、外務大臣、防衛大臣と話をすると、大概ですね返事は後ろでアメリカがノーと言うんだよというのが、今まで私たちのたらい回しの現状です。そうしますと総理の「日本を取り戻す」という中に、沖縄が入っているんですかというようなことも聞かせてもらいました。

■戦後レジームの死守

 それから、私が5月17日の県民総決起大会で最後に述べた言葉を紹介しますという話をしました。

 それはサンフランシスコ講和条約で治外法権の中で私たちが生きている時に、キャラウェイ高等弁務官から「沖縄の自治は神話である」と言われて、私たちはそれに反発して人権獲得をしましたが、ぜひ安倍総理においては、日本の独立は神話であると言われないよう頑張ってくださいということが、私の5月17日の県民大会での最後の言葉でありました。

 そして、戦後レジームからの脱却と言っているけれども、沖縄の現状を見ると、戦後レジームの死守ではないかというような話もさせていただきました。

 それから、杉田官房副長官には、警察官僚から官房副長官になっているので、15年前に後藤田官房長官、警察官僚から官房長官になりましたので、その対話の話を一つさせて頂きました。沖縄にぜひおいでください、ということを後藤田先生に申し上げたら、「俺は沖縄に行かないんだ」と。

 どうしてですか、沖縄が何か悪いことしたのかなと私は思ったんですが、涙声になって「かわいそうでな、沖縄県民の顔をまっすぐ見ることができないんだよ」と。こういう話を後藤田元官房長官がお話されておりましたよ、と杉田官房副長官に話をしました。

 そしてもう一点、今日は新しいものを出してもらいましたので、安慶田副知事が質問しましたから、安慶田副知事から。

【安慶田光男副知事】

■「辺野古が唯一」について

 私からはですね、政府に対してなぜ辺野古が唯一なのかという考え方が分からないということを言いまして、その根拠として政府はこれまで協議会の中でも本日の官房長官の記者会見でも、19年前のモンデールさんと橋本さんの会談で辺野古の危険性除去だと合意していると。それで、ということですが、危険性除去は話されているがその中では辺野古に普天間を移すという話もされていませんし、合意もされていません、と。

 大変申し訳ないんですけれど、釈迦に説法みたいなものですが、時系列的に辺野古というのが出てきたのは、小渕総理の時に稲嶺県知事が初めて軍民共同使用、15年の期限時期として出されたのが初めてですよ、と。それで政府はそれを受けて平成11年の12月28日に閣議決定されました。しかし小泉内閣になりますと、平成18年の5月30日に、この案を廃案に閣議決定しております。

 そうすると、私たち沖縄県の理解は日本政府には辺野古案はないんじゃないですか。閣議決定してこれを取り消して、現在、辺野古案はないと私たち理解しているんですが、と。常に政府は辺野古の移設は仲井真県知事が埋め立てを承認したことが唯一の根拠だと言っていますが、これも私たちが県政変わりまして、第三者委員会が検証した結果、埋め立てには瑕疵があるという報告であります。

 そういう意味からすると、私たちは辺野古案が唯一という政府の考え方はおかしいんじゃないかというのを私たちは感じています、と言うと返事はありませんでしたし、ただ聞いていました。

 これが私たち県の考えであることを強くもう上げさせていただきたい、と申し上げました。

【翁長知事】

 そして、一番最後になるわけですけれども、一番重要な話し合いがなされました。

 これからも交渉、協議を続けたいと安慶田副知事と官房長官、話がありましたので私は、そうするとこの辺野古の中断は再開ですか?という話をしましたら、そうさせてもらいますというので、私からすると全力を挙げて阻止をさせていただきますということで、最後締めくくりました。以上です。

【翁長知事との一問一答】

■協議継続について

記者 菅官房長官と安慶田副知事の間で、協議を続けたいという話があったというくだりが分からなかったのですが。

知事 おそらくは、まず中断をするんですよね、ということですよね。中断をしたらこの集中協議というのは終わるわけですよね。それとは関係なく協議は続けたいというから、そこで私は意味が分からないので、これは今回の1カ月が終わったら、調査する2、3日はありますけれど、調査期間は除きますが工事再開ですか?と言ったら、そうさせていただきます、ということでの話でありますので。

 これからの協議については、それとは別に何か分かりませんがあるかもしれませんけれども、いわゆる今回の1カ月間の中断をして意見交換する中から辺野古に対してどのような認識がお互いが詰めよられるかという意味では、工事再開ということでございますので、私からすると、あらゆる手段で阻止をさせてもらいます、という話で終わりました。

■埋め立て承認取り消しについて

記者 知事としては工事が再開されれば、埋め立て承認を取り消す考えですか。

知事 みんなすぐそれを聞くが、間違いなく私は沖縄県民の意思を体して、いろんな第三者委員会、最大限尊重するということで今日まできていますので、あらゆる手段を使って阻止をさせていただきます、ということでご理解いただきたいと思います。

記者 こうした協議結果になったことについて、知事はどのように受け止めていますか。

知事 菅官房長官には歴史の話もたくさんしましたので、お互い別々に今日まで生きてきたんですね、と。70年間ね。すれ違いですね、というような話をさせてもらいました。

■集中協議への評価

記者 集中協議の期間を設けて協議したことは評価しますか。

知事 それはよかったんじゃないですかね。一致できないところもよく分かりましたしね。言葉だけの話というのもよく分かりましたしね。その意味からいうと、いい意味でも悪い意味でも話し合いをしたということは良かったと思います。その中で、多くの国民の皆さん方に一定程度のご理解を頂いたということは、私からすると良かったという風に思っています。

記者 きょう初めて総理が出席されたが、総理が出られた意味、話していまどう受け止めていますか。

知事 向こうがそのようにするということでしたので、おそらく5回、最後だから総理に締めくくってもらう、これは推測ですから、そうだという風に言えません。いずれにしろ総理がおいでになって、今日までの努力の話をされておりました。私が菅官房長官と最後に話をしたものは、総理が退出してから官房長官に最後の方に質問をして、分かりましたということで終わったということですね。

■沖縄の民意発信について

記者 工事を再開するという返答があった以上、沖縄県としては協議は決裂したという認識ですか。

知事 基本的にはそういうことでしょうね。明確にそうおっしゃっていましたので。そうすると、私からすると絶対に阻止をさせていただきますということでありますので、それを踏まえての関係になると思います。

記者 集中協議の期間が終わった後、沖縄県や県民の民意を発信していく機会をどう設けていきたいですか。

知事 これからも協議はさせていただきたいというので、先ほど言ったようにこの協議は工事を中断して協議をするのか、工事は再開するけれども協議をするのかというところまでは話はいきませんでした。

 ただいずれにしても協議を続けたいという話はされておりました。どういう形式になるかというのはまだ話はしておりません。私はその話を聞いたものですから、工事は断念するんですか、継続するんですかと言ったらそうさせてもらいますということです。

記者 国連での演説などは。

知事 こういうところまで話をすると、今終わったばっかりですのでね。

■議論は深まったか

記者 協議継続という話だが、1カ月見ていて歩み寄りがほとんどなかったように感じるが、協議を続けていくのは、どういったことを。

知事 分かりませんね。菅さんに聞いてください。総理がまず最後に触れて、出て行かれて、それから菅さんが具体的に話をされたので私の質問になりました。私が質問しなければおそらく今日は何の話で締めくくったか分からなかったと思いますが、これは質問をして今日までも5回の協議はどっちかというと私の方が沖縄の実情を話して、聞き役に回っていただいて、なおかつ理解ができないということですから、これはなかなか難しい。ですから、別々にお互い70年間生きてきたんですね、というようなことを話をさせてもらったわけです。

記者 議論を通して辺野古に移設する必要性や互いの主張は平行線だったが、議論は深まったかどうかどう考えますか。

知事 ある意味で本音でそうおっしゃっていたのか、建前上で言っていたのかそこまで人の心は読めませんので、その意味からいうと平行線だったということですね。

■沖縄の負担軽減について

記者 総理から冒頭、KC130移転とか政府の努力は認めてほしいという話があったということだが、辺野古が唯一だという話は改めて出ましたか。

知事 総理からは出なかったですね。

安慶田副知事 総理からは6項目ですね。

知事 辺野古は出ていない。

安慶田副知事 辺野古は出てない。基地の負担軽減と、北部訓練場を大幅に返すとか、牧港と西普天間、キャンプ瑞慶覧、そういう話は出たんですが、総理からは(辺野古移設の件は)出ていません。

知事 私からは、もう何十年間、時の総理、官房長官、外務大臣、防衛大臣、同じ話ばかり聞かされています、と。おそらく時間的なものが相当差があるんじゃないですか、と。皆さん方、100年後に解決するつもりでいるんじゃないですか、というような話もさせてもらったくらいで、今おっしゃったようなものはいつになるか分からないものもたくさん含んでいますので、言葉だけが一人歩きして、安倍内閣はよく頑張っているじゃないかと国民に思われたら、私たち沖縄はなす術がなくなりますので、いつできるか分からないようなものはもうおっしゃらないで頂きたいくらいの気持ちで今回は話をさせていただきました。

記者 戦後レジームの死守ではないかとか、総理が言う日本を取り戻すという中に沖縄は入っているのかということに対して総理の反応は。

知事 ないですね。

■工事再開について

記者 工事再開の時期は言っていましたか。

知事 これも調査期間があと何日間かずれるので、そこまではお約束ですので、これの期間が分かりませんから調査がしっかり完了した時点だと間接的に感じました。具体的にはここまでだと言いませんでしたのでね。

記者 工事再開についてそうさせていただきますと答えたのは、官房長官ですか。

知事 そうさせていただきます、と言ったのか、そうやります、と言ったのか。とにかくやるということです。

記者 工事中断期間は明後日までだが、明日、明後日に再度協議する可能性はありますか。

知事 分からないです。まだそういう呼びかけはありませんので。