【南城】奥武島うみんちゅ祭り(主催・奥武島漁業組合)が5、6の両日、同島で開かれ、ハーリー船の造り手・嶺井藤一(ふじいち)さん(85)の名前を冠したレースが初開催された。速くて軽いと評価される嶺井さんの9隻が出走し、熱戦を展開。この道50年の職人は「自分の船が並んで走り、とてもいい気持ち」と照れくさそうだった。(又吉健次)

ハーリー船の造り手・嶺井藤一さん(手前)。自らの名前を冠したレースの決勝を見詰める

ハーリー船の造り手・嶺井藤一さんの船が出場した「藤一杯」決勝。手前の新友会が優勝した=6日、南城市奥武島

ハーリー船の造り手・嶺井藤一さん(手前)。自らの名前を冠したレースの決勝を見詰める ハーリー船の造り手・嶺井藤一さんの船が出場した「藤一杯」決勝。手前の新友会が優勝した=6日、南城市奥武島

 嶺井さんは当初、漁業用のサバニを造っていた。ハーリー船の注文があった30歳ごろから独学で手掛け、170隻ほどを製造。長さ8・5メートル、幅2メートルほどの船を約3カ月かけて製作する。

 底幅の狭い船は三角形になり、水を切るため速度は上がるが不安定になる。そのためクラブチームか、一般の人がこぐかで造り方も異なる。また、かいをこぐ際に足を伸ばすか曲げるかのくせ、こぎ手の席順、部分ごとの厚みといった依頼に応じて仕上げる。

 祭りは、鮮魚や野菜を扱う施設「いまいゆ市場」の開館を記念し、5年ぶりに開催。木造のハーリー船の良さを伝えようと、奥武島漁業組合青年部の知念克弥さん(35)らが企画。南城や糸満、うるま、名護から9団体が出場した。

 6日の決勝は420メートルで争い、最後の折り返しで接戦となったが、新友(みいゆう)会(糸満市)が1・17秒差の2分27秒12で制した。玉城良平監督(35)は「速い船だから造ってもらうんですよ。注文にもたくさん応じてもらい、感謝の気持ちで出場した」と喜ぶ。2位のはまゆう(うるま市)の新里一昭さん(33)は、「嶺井さんの船はこぎやすく、この世界では特別な存在」と話す。

 決勝を見た嶺井さんは、地元の奥武島勢が3位となり残念そう。後継者で孫の嶺井尚人さん(38)は「高校卒業後、木の削り方とかいろいろ教わった。元気な間は、一緒に船を造りたい」という。

 祭りには、市内外から多くの人が訪れ、歌手鳥羽一郎さんのショーもあった。他のレース結果は次の通り。

 【市長杯男子】豊見城ドラゴン【同女子】琉球クレイジーガールズ【転覆】奥武島漁業組合青年部【帆掛けサバニ】海族サブロー+エミ丸