寺島実郎氏は9日の那覇市内のパレット市民劇場で開かれた講演会で、「日本にある全米軍基地を議論のテーブルに載せ、本当に必要なものを米側に優先順位をつけさせ、段階的な縮小を目指すべきだ」と主張し、「米軍の縮小、日米地位協定改定による日本の主権国家回復という問題意識を失ったら、国家じゃない」と述べた。(1面参照)

沖縄の取りまく問題について講演する寺島実郎氏=9日午後、パレット市民劇場

寺島実郎氏の講演に聴き入る聴衆

沖縄の取りまく問題について講演する寺島実郎氏=9日午後、パレット市民劇場 寺島実郎氏の講演に聴き入る聴衆

 米軍普天間飛行場返還に伴う辺野古新基地建設で、負担軽減の名目で辺野古移設を進める政府を批判。民主党政権による辺野古回帰以降の沖縄の意識の変化に触れ、「自分たちが抱えている基地が、どこかにいけば解決したという程度では向き合っていない」と指摘。日本全体で抜本的な基地問題の解決に取り組むよう訴えた。

 寺島氏は冷戦直後、ドイツが米国と戦略的対話を重ね、米軍基地を縮小し地位協定を改定した例を挙げ、「沖縄は米国との関係を踏み固めながら、日本における基地問題を21世紀にふさわしい方向で、段階的に収斂(しゅうれん)できないかという方向に目線が向かい始めている」と述べた。

 一方、日本は中国や北朝鮮の脅威を理由に「日本自身が米国を引き留めている」と指摘。

 寺島氏は安保法制整備に先行する形で、日本とアメリカの軍事戦略の一体化が進んでいる点にも言及し、「日本版海兵隊をつくるという構想に流れている」との見解を示した。その上で、米側は経済的台頭が進む中国との紛争を望んでいないとして、「尖閣で紛争が起こったら沖縄の米海兵隊が、日本の側に立って戦うということを意味しないということの裏返しだ」と指摘し、尖閣問題をめぐる米軍の抑止力の誤解を指摘した。