私たち国民の知らないところで、沖縄を舞台にした日米の軍事一体化が着々と進んでいる。

 海上自衛隊と米海軍が、うるま市の米海軍ホワイトビーチ内にある海自沖縄海洋観測所を拠点に、南西諸島の太平洋側を広範囲にカバーする最新型潜水艦音響監視システム(SOSUS)を敷設し、日米一体で運用していることが分かった。

 「日米安保体制の最高機密」とされ、概要を知るのは首相や防衛相ら限られた要人のみ。国会での議論も、地元・うるま市や県への説明もない。防衛省の河野克俊統合幕僚長は10日の記者会見で、システムに関し「コメントは控える」と述べ、「機密」のベールに包まれたままだ。

 海洋進出を強める中国海軍への対策とみられるが、監視機能の強化が、逆に不要な緊張を高める懸念は払拭(ふっしょく)できない。何かあれば最も影響を受けるのは、拠点が置かれている沖縄だ。

 SOSUSは海底にケーブルを敷設し、水中聴音機などで潜水艦が出す音響や磁気データを収集、動向を監視する仕組み。海自沖縄海洋観測所から九州南部と台湾沖まで、ケーブルがそれぞれ数百キロ延びる。

 収集した情報は、海自と米海軍で完全に共有しており、万が一、台湾海峡有事などが発生した場合、米軍の武力行使に直接使用される恐れがある。集団的自衛権行使を可能にする安全保障関連法案を、先取りするような動きだ。

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 日米の軍事協力といえば、先月12日にうるま市沖で起きた米陸軍所属のヘリコプターの墜落事故が記憶に新しい。

 当時、米艦船での米陸軍特殊部隊の作戦・訓練に、陸上自衛隊の隊員10人が参加していた。隊員2人が事故に巻き込まれたことで図らずも明らかになったが、5年前から実施していた。「研修」をうたってはいるものの「共同訓練」との見方は強い。

 2007年度に始まった陸自の米軍キャンプ・ハンセンの使用は増加傾向にあり、「研修」名目の米軍基地の使用が県内で常態化している。

 防衛省が12年当時、自衛隊訓練のため県内米軍基地13施設と周辺2水域を「共同使用」の候補地として検討していた計画も明らかになった。

 昨年12月に河野統幕長が米軍幹部と会談した際の報告書とされる記録では、河野氏がキャンプ・ハンセン、シュワブでの共同使用を推進する考えを伝えていた。

 見えないところで急速に日米の一体化が進んでいる。

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 冷戦時代、日米は津軽、対馬海峡に旧ソ連の潜水艦を監視するために旧型SOSUSを設置した。それより情報収集能力が格段に高い新型SOSUSの拠点が、海自下北海洋観測所(青森県東通村)とともに沖縄の観測所に置かれたことは、中国を封じ込めようとする動きが強まっていることを示す。

 ただ、米軍と自衛隊の情報共有や武力行使との関係については、安保関連法案の審議でもほとんど触れられていない。政府はまず、その実態を明らかにするべきである。