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  • 工事を停止し、協議を続けることは民主国家として当然のことだ
  • 知事の埋め立て承認取り消しは、やむにやまれぬ意思表示である
  • 緊迫化する安保法案と合わせ、国の政策を根本から問い直す機会だ

 米軍普天間飛行場返還に伴う名護市辺野古の新基地建設問題は、政府と県の集中協議期限が切れ、重大な局面を迎えた。

辺野古新基地建設の作業再開でフロートを設置する作業員=12日午後0時45分、名護市辺野古崎付近

 政府は12日朝、集中協議のため8月10日から9月9日まで中断していた作業を約1カ月ぶりに再開した。

 立ち入り制限区域を示すフロート(浮具)や仮設桟橋を設置したあと、来週にも、残る5地点の海底ボーリング調査を再開する。

 話し合いがかみ合わず、期間中に成果を得ることができなければ、協議を延長する。そうするのが普通だ。ましてや、各種世論調査で6~7割の県民が辺野古移設に反対し、県知事選、名護市長選、衆院選でも「辺野古ノー」の民意が圧倒的な形で示されたのである。

 工事を引き続き停止し、協議を継続することは、民主国家としてあまりにも当然のことである。地元の合意なしに米軍基地を造ることは、あってはならないからだ。

 しかし、安倍政権はそうはしなかった。そんなことさえしなかった。期限切れを理由に、機械的に、粛々と、工事を再開した。血の通った政治とはおよそ正反対の強権的な振る舞いである。

 最初からそうなることを想定し話し合いの形だけを取り繕ったとすれば、政府は県民をもてあそんだことになる。

 翁長雄志知事は週明けの14日にも、前知事による埋め立て承認の取り消しを正式に表明する。

 知事権限を最大限に行使した抵抗であり、やむにやまれぬ意思表示である。

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 仲井真弘多前知事による埋め立て承認について県の第三者委員会は(1)埋め立ての必要性に合理的な疑いがある(2)環境保全措置は適正と言い難い-などと指摘。埋め立て申請は法の要件を満たさず、これを承認した手続きに四つの法的瑕疵(かし)がある、との結論をまとめ翁長知事に提出した。

 県が承認を取り消せば、政府は埋め立ての法的根拠を失う。行政不服審査法に基づく審査請求など、政府がすかさず対抗措置を打ち出すのは確実である。

 県は11日まで、コンクリートブロックによるサンゴ礁の損傷状況を調査するため辺野古で潜水調査を実施した。その結果次第では、前知事が出した埋め立て予定地の岩礁破砕許可を取り消す可能性もある。

 知事権限を行使して埋め立て工事に待ったをかける一方、知事は国連人権理事会で演説し、沖縄の実情を国際社会に訴える予定だ。

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 辺野古問題をめぐって政府と県の攻防が一段と激化するのは間違いない。

 キャンプ・シュワブゲート前での抗議行動に呼応し、国会議事堂周辺では「止めよう!辺野古埋め立て9・12国会包囲」が行われ、主催者発表で約2万2千人が参加した。

 週明けから安全保障関連法案をめぐる動きも「17日採決」をめぐって一気に緊迫化する。

 「安保法案」と「辺野古」が運動の場でドッキングし始めてきた。安保・外交政策を根本から問い直す機会である。