沖縄県うるま市のほぼ中央、旧具志川市と旧石川市の境に位置する集落「昆布」。海藻の昆布が採れるわけではないのに、なぜこの地名なのか。同字出身でうるま市文化財保護審議委員会の会長を務める名嘉山兼宏さん(75)=うるま市喜仲=は、地元の地名に対してふと湧いた疑問から、市内の「地名」の由来を調べ始めた。聞き取りや字誌などから歴史を調べ、市の広報誌で紹介する。地名の由来や意味を探る上で、欠かせない鍵がしまくとぅば(島言葉)だという。(中部報道部・松田麗香)

うるま市の地名の由来

名嘉山さんが執筆したコラム「地名散歩」

うるま市の地名の由来 名嘉山さんが執筆したコラム「地名散歩」

 市内の史跡など文化財の保存活動に取り組む名嘉山さん。「地名も、先人たちが私たちに残してくれた文化遺産。地名について考えることは、歴史の掘り起こしになる」と話す。

 10年以上前から地名の調査に取り組み、市広報誌に執筆したコラム「地名散歩」は今月で連載26回を迎えた。多くのうるま市民にふるさとの「宝」について興味を深めてほしいという思いを込める。昆布はしまくとぅばの発音では「クーブ」。由来は諸説ある。

 丘陵地帯に囲まれたくぼ地であることから、クブンジ(くぼ地)の字音が変化しクーブになった、天願地域の一部だった集落が独立した際に祝いの意味を込め、カリームン(おめでたいもの)の昆布と名付けた、などだ。

 「沖縄の地名はしまくとぅばの音に漢字を当てはめたものが多い。しまくとぅばの意味から探ることが、地名の由来、すなわち歴史文化をひもとくヒントになる」と話す。

 大井川から川崎川に水が流れる様子をビー(樋(とい))に例えた「井の樋(ひ)」が転訛(てんか)して「栄野比」、グシチ(ススキ)が生い茂る原野だったことから「具志川」に。名にまつわる言い伝えには昔の景色や人々の生活を想像させるものが多いという。

 「地名散歩」だけではなく、市内に伝わる民話の収集や、うちなーぐち芝居の監修、くがにくとぅば(ことわざ)の講師など、地域文化の普及活動に多く携わる。しまくとぅばの継承には不安もある。若い世代がしまくとぅばに触れる機会が減り、伝統文化に対する理解度が次第に薄れないかと考えるからだ。

 「孫の孫の代まで、いつまでもウチナー文化を引き継いでほしい。地名のように、生活に身近なものからしまくとぅばに触れ、ふるさとを愛する気持ちにつなげてほしい」。思いを込めた。