「クリスマスなんてなければいい」

 ボランティアでサンタクロースを派遣する活動を続けるNPO法人の調査で、シングルマザーの3人に1人がそう考えたことがあると答えている。10人に1人は「うちにはサンタは来ない」と話した経験があるという。

 子どもたちが心待ちにしているイベントだけに、経済的に余裕のないシングルマザーたちのつらい気持ちが伝わる。

 今月、厚生労働省が発表した「2016年度全国ひとり親世帯等調査」によると、母子世帯の平均年収は243万円と低かった。祖父母など同居する親族の収入を含めても2人親世帯の半分以下。都道府県別の数字はないが、県内の状況はさらに厳しいと推測される。

 厚労省は「男性に比べ、女性の正規雇用の割合が低いことが影響している」と分析する。

 それにしても働くシングルマザーのおよそ半分が非正規なのはなぜなのか。

 子どもが小さいためフルタイムで働くことが難しいという人は少なくない。子どもの病気や学校行事で仕事を休むことが許されない企業風土が正規雇用への道を閉ざす要因の一つともいわれる。

 加えて正社員であっても、男女間の賃金格差という女性を取り巻く労働環境の厳しさが母子世帯の収入を押し下げている。

 15年時点の子どもの貧困率は13・9%。ひとり親家庭ではそれが50・8%に跳ね上がる。

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 養育費の不払いも深刻である。

 今回の調査で、母子世帯のうち、離婚により父親から子どもの養育費を受け取っているのは4人に1人にとどまった。

 そもそも離婚に際し養育費の取り決めをしていない夫婦が多い。「相手と関わりたくない」「相手に支払う能力や意思がない」といった理由からだが、養育費は子どもの権利という考え方を定着させなければならない。 

 法制審議会の部会が、この夏、養育費不払いを解消するための法整備案をまとめた。裁判所が支払い義務のある人の預貯金口座や勤務先を関係機関に照会し、差し押さえる案である。

 子どもの貧困を改善するためにも、離婚時の養育費の取り決めと、支払いが確実に行われるようなルール整備を急ぐべきだ。

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 家族の在り方の多様化を映し出した調査でもある。

 母子世帯になった理由で「離婚」の次に多かったのは「未婚の母」。5年前の前回調査同様、「未婚の母」が「死別」を上回った。

 しかしひとり親という状況は一緒なのに、非婚のシングルマザーには税法上の「寡婦控除」が適用されないという不利がある。寡婦控除がないため高い税負担を強いられ、子育て支援策などの対象外となるケースがあるのだ。

 不利益が子どもに及ばないよう、寡婦控除についても法改正による根本的な解決が必要である。