仲介者の役割を放棄したような米国の一方的な振る舞いに対する国際社会からの批判である。

 トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都と正式に認定した問題で、国連総会の緊急特別会合が開かれ、認定の撤回を求める決議案を賛成多数で採択した。

 賛成は日本を含む128、反対9、棄権35だった。米国が国際社会から孤立していることを示す結果だ。

 採択に至るまでのトランプ大統領らの態度は、同調しない国に露骨に圧力をかけ、敵か味方かに選別する姿勢が際立った。

 「私たちから数億ドルや数十億ドルも受け取っておきながら、反対する国があれば、やらせておけばいい。米国は大いに節約できる」。トランプ大統領は緊急特別会合の前日、こう言ってのけた。反対する国には経済援助を削減すると警告を発したのだ。

 カネの力に物を言わせ、米国に従えといわんばかりである。傲慢(ごうまん)極まりない。

 ヘイリー国連大使も国連演説で、最大の拠出金を支出している米国の主張が認められなければ、削減することを示唆した。会合を途中退席するなど、拠出金を人質にしたあからさまな脅しである。

 当初見込みより棄権が多かったのは、米国のどう喝によって安全保障や経済で米国の強い影響下にある国々が棄権に回ったためとみられる。

 決議に拘束力はないが、米国が自ら威信を低下させたことは間違いない。

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 エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の三大宗教の聖地で、帰属問題は中東和平の核心である。

 イスラエルは1967年の第3次中東戦争で、東エルサレムを占領・併合したが、国際的に首都と承認している国はない。

 一方、パレスチナ側は東エルサレムを将来の独立国家の首都と位置付けている。

 「パレスチナ国家樹立によるイスラエルとの『2国家共存』が和平実現への唯一の道」というのが米国の歴代政権の方針だった。

 トランプ大統領の首都認定は来年の中間選挙を控え、支持層のユダヤ系やキリスト教右派に公約の実行力をアピールする狙いがある。

 エルサレムを首都と宣言してから約3週間。パレスチナ人とイスラエル軍の衝突が激化し、対立を深めている。一方的な宣言で国際的混乱を引き起こしているのだ。

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 今回、日本は決議案に賛成した。中東外交で長年築いてきたアラブ諸国との関係を重視したためだ。

 河野太郎外相は現地時間の25日にイスラエルとパレスチナを訪問する。日本の立場も、国際社会と同じように「2国家共存」の支持であることを両首脳に直接伝えるとともに、国際社会と協力して和平への関与を強めてほしい。

 トランプ大統領の暴挙をいさめるのも同盟国の重要な役割であることを認識して働き掛けてもらいたい。

 中東では日本は一定の信頼感と期待感を持たれている。和平に向けて仲介者としての役割を果たしてほしい。