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  • 北谷町の白比川は大雨のたびに周辺地域の浸水が常態化
  • 米軍キャンプ瑞慶覧内の川幅拡張工事ができないことが原因
  • 返還時期は不明確で改修完了のめどが立たず、県や町は対応に苦慮

 北中城村や沖縄市から、北谷町の国道58号が通る白比橋方面へ流れる白比川。白比橋の上流約1キロは、大雨のたびに浸水が常態化、住民からは対策を求める声が上がる。川を管理する県は川幅の拡張を計画するが、川が米軍キャンプ瑞慶覧内を通るため着工できずにいる。返還予定だが時期は明確でなく、改修完了のめども立たない。県や町は「一時的な対応でしのぐしかない」と、頭を抱えている。(中部報道部・下地由実子)

河川改修工事完成のめどが見えない白比川。先行して工事が始まる下流部では、米軍基地側の護岸の一部が崩れている

浸水した北谷町吉原の白比川沿いの道路=2013年5月15日午後10時ごろ

河川改修工事完成のめどが見えない白比川。先行して工事が始まる下流部では、米軍基地側の護岸の一部が崩れている 浸水した北谷町吉原の白比川沿いの道路=2013年5月15日午後10時ごろ

 白比川は全長3キロ、町美浜の河口から上流へ1・8キロが県管理の2級河川に指定されている。県中部土木事務所によると、洪水の原因は、狭い川幅や川底の不規則な勾配のため、水をさばききれなくなるためだ。1973年には河口近くから白比橋までが拡幅されるなど、以前から水害対策は課題だった。

 白比橋より上流は、川の南側にキャンプ瑞慶覧施設技術部地区内の倉庫地区が広がり、北側は住宅が密集する。この地に50年近く暮らす70代男性は、「水が来るのは40年も前から。雨が降ると心配で眠れない。いつ工事はできるのか」といら立つ。北玉区の崎浜盛善自治会長も「川沿いは家の床まで水が上がり、水没する畑も。台風の時は公民館に泊まり込み地域を見回る」と、ため息をつく。

 県は2001年度、「30年に1度の降雨による洪水」対策のため、白比橋から上流約1キロの拡幅を内容とする改修事業を始めた。現在の川幅平均約11~13メートルから平均24メートルに広げる計画だが、着工はまだだ。同事務所は「白比川が米軍提供区域のため、着手できなかった」と説明する。住宅街である川の北側に土地の余裕はなく、南の同倉庫地区側へ広げるしかないからだ。

 同倉庫地区は13年、既存施設のキャンプ・ハンセン移設を条件に19年度以降の返還が日米合意された。白比橋から約120メートル区間は遊休地だったため「日米共同使用」による着工が認められ、ことし10月、作業が始まる。対照的に、水害が多いとされる中~上流は施設が建ち、返還前の着工は難しい状況だ。

 同事務所は「一部工事だけでは治水安全度は厳しい。狭い川幅のある中~上流に氾濫の危険が残る」と、全体の改修が必要だと強調。「返還までは空白期間。対応を町と調整したい」とするが実効策はない。町土木課も「できるのは土のう配布といった暫定的な対応だけ」と苦慮する。県河川課は「着手から完了まで8年はかかる」とし、17年度までの現事業期間を延長する見込みだ。現状を町の関係者は「ネックは米軍基地」と断言した。

 沖縄防衛局は取材に、「ハンセンへの移設は16年度から工事の予定。県に協力し、当該地区を早期に返還できるよう取り組む」と回答した。

 先述の男性は「安心して暮らしたい。一日も早く工事を終えてほしい」と願っている。