最近「胃が痛い」、「なんとなく、おなかが張る感じがある」、もしくは「ワタヤミー」することはないですか? その症状、胃潰瘍や十二指腸潰瘍によるものかもしれません。

 胃や十二指腸に深い傷ができることを胃潰瘍、十二指腸潰瘍といいます。胃潰瘍では食事をした後、十二指腸潰瘍では空腹時や夜間に痛みが出たりします。おなかの張る感じや吐き気、胸やけ、げっぷなども胃潰瘍や十二指腸潰瘍の症状のときがあります。また、潰瘍が深くなると傷口から出血し、血を吐いたり、イカスミみたいな真っ黒な便が出ることもあります。まれに、傷が深くなると胃や十二指腸の壁に穴が空いてしまうこともあり、そのような場合は経験したことのないようなおなかの痛みを感じることがあります。

 胃潰瘍、十二指腸潰瘍の診断は、上部内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)が勧められます。バリウムを飲む検査や症状の問診などからも胃潰瘍、十二指腸潰瘍を診断することはありますが、まれに胃潰瘍に似た顔つきの胃癌(がん)も認めることから、がんにかかりやすい60代以上の高齢の方は、直接病変を見ることのできる内視鏡による診断が勧められます。

 ただし、全員に症状があるわけではなく、全く症状のない方も多くいます。病院に受診されている方の約1割、胃がん検診で発見された胃潰瘍の約3割の人が無症状だったと報告されています。また、高齢者の方は痛み止め(非ステロイド抗炎症薬)などのお薬を飲んでいる場合に無症状の人が見られるので、注意が必要です。

 潰瘍は、ピロリ菌が原因でなることが多いとされています。胃潰瘍の70%、十二指腸潰瘍では90%が、ピロリ菌が原因であるとの報告もあります。ピロリ菌の感染は幼少期のころであるといわれています。上下水道の完備が不十分であった戦後の時代に生まれ育った団塊の世代より前の人のピロリ菌の感染率は約80%前後と高いのですが、衛生状態の良い環境で育った若い世代の感染率は年々低くなり、10代、20代では10~20%程度となります。最近の感染の原因は両親から子供へなどの家庭内感染が疑われています。ピロリ菌に感染している大人から小さい子どもへの食べ物の口移しなどはあまりお勧めできません。

 また、ピロリ菌に感染していると胃潰瘍、十二指腸潰瘍を繰り返す可能性があります。胃潰瘍・十二指腸潰瘍と診断された場合、ピロリ菌の検査も行い、感染していた場合には、除菌(菌を退治)をすることが重要です。(古謝亜紀子 国立病院機構沖縄病院)