「未経験者がここまでできたのは地域のみなさんのおかげ。赤い実をつけた瞬間はうれしかった」。読谷村でイチゴ生産に携わる長部晃典さん(46)は目を細める

▼日立トリプルウィン(東京都)が村内でイチゴの本格生産・販売を始めた。北海道出身の長部さんは同社の社員。ことし2月から読谷村に移り住み、生産者として携わる一人だ

▼実証実験を経て、収穫したのは植物工場のハウスで育った「Berry Moon(ベリームーン)」。爽やかな甘みとほどよい酸味が効いて食べやすい

▼最近では県内でもイチゴ生産を手がける農家や企業も出ている。暑さに強い品種や病害虫を防除するシステムを備えたハウスなど技術力のたまものか

▼企業の農業分野への参入は全国でも進んでいるが、やはり成功の鍵は地元との連携だろう。営業畑を長く歩んだ長部さんにとって、農業はまさに畑違い。「育てる楽しさを実感した」。住民票を移し、地元と一緒に暑い時期にハウスで経験した苦労があるからこそ愛情も増す

▼「ベリームーン」は村のふるさと納税返礼品にも採用された。村特産の紅芋の「べに」とも重ねたネーミング。ジャムやジェラートなど地元の事業者との連携も進む。地域が誇りを持ち新たな特産品としてどう育てていくか。村ならではの商品開発や情報発信も楽しみだ。(赤嶺由紀子)